・22
少し緊張しながらも輪の中に入っていると、唐突に誰かが言った。
「そうかなぁ?」
そう首を傾げたのは、真紀を誘ってくれた若生光。真紀の隣の席に座っていた。ショートボブの髪型のせいか、活発な少女のイメージがつく。そのイメージは当たらずとも遠からずのようで、すらりと伸びた手足はモデルのようだった。
「そうだよー」
別の誰かが最初の発言に同意する。光はまた首を倒す。
「中村くんとかかっこよくない?」
「えー湯月くんの方がかっこいいよー」
「でもあの人彼女持ちじゃん」
「いいじゃん別にー」
「本田くんもかっこいいと思う」
「え、あんたあんなの趣味なの?」
「だってなんか可愛いじゃん」
大して興味のないらしい光と、クラスメイトの名前が把握できていない真紀を残して、女子たちの会話は盛り上がる。
置いてきぼりを食らって黙々とお弁当を食べていると、光が話し掛けてきた。
「みんな乙女だねぇ」
「そう、だね」
ぎこちなく返すと、光はふふっと笑った。上品にというか、どこか年上のお姉さんのような笑み。
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