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「こんにちはー」


 大学の講義を終えてバイト先へ直行する。

 前のシフトで入ってる子に軽く挨拶をしてから控え室に行くと、見慣れた後ろ姿が机を前に頭を抱えていた。

 てか、学ラン着てる。本当に高校生なんだ……。

 雅之くんは私が来たことに気付いていないようで、黙々と机に向かっている。

 何をしているのか気になった私は、雅之くんの肩口から机を覗き込んだ。

 机に置いてあるのは、教科書とノート、筆箱、そして分厚い古語辞典。ノートに書き写された古文を前に、シャープペンを持つ手が止まっている。


「……お勉強?」

「えっ! あ、わっ! 智実さんいつの間に!?」


 小さく呟いたらやたらと大きなリアクションが返ってきた。珍しく雅之くんが慌てている。なんか面白い。


「ついさっき来たとこ」

「な、声かけてくださいよ」

「だってなんか忙しそうだったし」


 すると雅之くんは顔をしかめてため息をついた。視線の先は机。


「勉強してたんだ? 偉いねー」

「……まぁ、受験生ですし」

「あ、そっか」


 やっぱり私は雅之くんが高校生ということを忘れてしまうらしい。

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あきゅろす。
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