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拒まれれば拒まれるほど、
愛は激しく燃え上がる。
昼休みといえば、午前ぶっ続けの授業から解放され、昼食を食べられるという心身共に癒しの時間だ。
間宮歩香はベランダに出て友達と一緒に昼食を食べていた。
可愛らしい赤いお弁当箱には、卵焼き、ほうれん草の胡麻和え、さくらんぼ。
見るからに女の子、という中身のお弁当を横目に、朝コンビニで買ってきた焼きそばパンにかじりつく。ソースの香り、パンと焼きそばの異なる触感が口内に広がる。
「平和だ……」
空を見上げて一言。
一日の中でこの時間が至福のときだと言わんばかりの言葉に、隣の友達が笑う。
「でも、そんな平和もすぐ壊されちゃうんじゃない?」
傍から聞いたら、なんて淋しいことを言うのだろうと思うだろう。
だがその場にいる誰もが苦笑せざるをえない事情があった。
「いや、もうさすがに来ないでしょ」
「いやぁ、分かんないよ?」
口元を引きつらせる歩香に、友達はにやにや笑う。
と、そのとき、教室の扉が勢いよく開けられた。
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