キセキの秋桜
59
「さっき二人何か言ってなかった?」
「気の所為ですよ」
「(コクッ)」
あれから、三人は歩いていた。炎真は気になっていたが、頑なに答えようとはしなかった。
そうこうしている内に、目的地に着いていた。
「……着いた」
「此処?」
「素敵なお店ですね」
ナミモリーヌに着くと、三人はお店の前で立ち尽くしていた。嬉しそうにしている炎真とユニを見て、空はどことなく雰囲気がまた優しくなったような気がした。
「……入ろう」
「はい」
「うん」
三人はこうして、お店の中に入る事にした。一瞬、知ったジャージの集団が騒がしくしていた様な気がしたが、空は気にせず中に入った。
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「此処のケーキは本当に美味しいですね」
「僕、此処のケーキ初めて食べたよ」
「……。」
ユニはベタにショートケーキ、炎真は可愛らしくタルト、空は紅茶一杯だけで、三人はゆったりした時間を過ごしていた。ユニも炎真も美味しそうに食べていた。
空は変わらず無表情で二人を見ている。一人ボンヤリとしていると、視界にやたらカラフルな集団がお店に入って来た。
高い身長と、ある意味悪立ちする髪の色、整った顔立ち、煩い位騒がしい声に空は思わず凝視(と言うよりも、半分睨み付けている様に見える)していた。結構な間見ていたのか、数人が気が付いたらしく自分達の方へ歩いて来た。
「空ちゃんに炎真君!」
「やはり空さんと古里君でしたか」
「やっぱり空ちゃんと古里君だったじゃないッスか!」
「(ペコリ)」
「桃井さんと黒子君と黄瀬君? 如何して此処に?」
「二人のお知り合いですか?」
空達の元迄楽しげに歩いて来たのは、桃井と黒子と黄瀬だった。三人は嬉しそうに話かけて来た。
空は表情は変わらず軽くお辞儀をし、炎真は驚いた様に三人に声を掛けた。ユニだけは、不思議な表情で声をかけた。
「空ちゃんを助けてくれた人達だよ」
「そうだったんですか」
「……。」
ユニの問に答えたのは炎真だった。炎真の答えに納得したように、笑みを浮かべたユニ。
何時も通り、特に話さない空。何時もよりも雰囲気が柔らかい様な気がしている黄瀬達三人。
紅茶を一口啜りながら空は、黄瀬達を見ていた。何故此処に居るのか、部活は如何したの?そう言いたげな目を向けて来る未だに自分に何も語りかけて来ない少女の意図や意味に気が付いたのは、黒子だった。
「あの、相席してもいいですか?」
「私は構いませんよ。お二人は?」
「僕も構わないよ」
「……好きすればいい」
「「「(空(ちゃん/さん)が喋った!)」」」
そんなこんなで、空達は相席する事になった。大量のケーキを持った(全て紫原が食す分)、他のキセキ達が来るのだった。
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