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「“拾ってください”の犬と猫って、一緒の箱に入れても良いのかな……」
夕ご飯のおかずを買いに来た帰り道、弟がふとそんなことを言った。俺も弟の視線を辿ると、夕陽に染まる河原で、小さな生き物がふたつ、並んで震えていた。
「酷いな、誰が捨てたんだろう」
「兄ちゃん……」
「取りあえず連れて帰るか?」
駆け寄ると二匹は寄り添うように温め合っている。犬と猫だけど仲が良いらしい。これなら二匹とも連れて帰っても問題ない。
「うん!」
弟は嬉しそうに頷いた。
◆ ◆ ◆
元気がない二匹は連れて帰っても寄り添うようにして離れない。知らない場所にいきなり連れてこられたんだ、無理もないけど。
「ほら、大丈夫だぞ」
弟が犬に手を伸ばした。
「わんっ!」
ビクッと奮えた仔犬が、弟の手から逃げるように身を引く。それでも弟はじりじりと近付いていった。
「あんまり苛めるなよ」
「苛めてないよーだ。ほらおいで、らぶ」
「らぶ……。名前か?」
「ラブラドールだろこいつ。だから、らぶ!」
満面の笑みで犬を呼ぶ弟に、らぶは心を開いたのか、おずおずと近付いていった。差し出された指先をペロリと嘗める。弟は嬉しそうにはにかんで、らぶに抱き付いた。
「らぶー!」
「きゃんっ!」
突然の包容に逃げようともがくらぶに同情する。弟は犬が大好きだもんな、まぁしょうがない。
「さて……」
問題はこっちの方だ。丸まって見上げてくる真っ白な仔猫。警戒してるみたいに一歩も近付いてこないし、逃げもしない。
「猫ねぇ……」
弟みたいに動物大好き! って訳じゃねぇし、どうしたもんかな。頭を抱えてたら、ふとタンスの中にあるでっかい鈴を思い出した。
「丸いの好きそうなイメージあるしな、猫」
勝手な偏見かもしれないが、うちには毛糸なんてものはない。あれで我慢してもらおう。
「お、あったあった」
でっかいのと、小さいのもある。小さい方は首にでも付けるか、可愛いし。
「にぃ……」
鈴に興味を示したのか、猫が立ち上がってそろそろと近付いてきていた。目が合うとビクッと震えて立ち止まる。
「そんなに警戒すんなよ……ほら」
コロコロ、鈴が猫の前で止まった。くん、と匂いを嗅いだあと前足で転がす。凛々と涼しげな音が響いた。
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