3 「メイコさんのバカ!どうして分かって下るさらないんですか!?」 「ルカは考えすぎなのよ!」 その言葉から私達の戦いは、幕を開けたのだった。 *** 「ルカ姉、めー姉怒ってるよ…?」 「もう知りません。あんな人……」 涙声混じりにリンの言葉に答える。 私よりも年下なのにリンは、なんとか私とメイコさんの喧嘩を納めようとしている。 まったく自分が情けなくなるが、今回ばかりは我慢できなかったのだ。 今日メイコさんは、酔っ払って朝帰りをしてきた。それを私は心配で、寝ずに帰りを待っていた。 しかし酔い潰れたメイコさんを連れ帰ってきたのは、本社の幹部だった。理由を聞けば、メイコさんは接待でスポンサーの男共と、朝までバーで飲んでいたらしい。 私はそんな事を聞かされてはいなかった。遅くなるとは言っていたが、まさか男と飲んでいるだなんて思わなかった。 しかし酔い潰れて寝ているメイコさんを問い詰める訳にもいかず、幹部に礼をいってからメイコさんをベッド寝かせた。 彼女から見知らぬ男の匂いがする。 それだけで私の機嫌は悪くなった。 けれどメイコさんの目覚めてからの言葉は、「ごめんね」とか「心配させたわね」とかではなく、 「……待ってないで寝ていれば良かったのに。」 だった。 「まあ……あれはめー姉も悪かった…、かもね。」 「ですよね!リンもやっぱりそう思いますか?」 「でもさー、アレは仕方ない気もする。だってめー姉だって、スポンサーは邪険にできないじゃん。」 そう言われると、私は返す言葉が見つからなかった。 言葉に詰まっている私に、リンはまた言った。 「でも、めー姉も自分勝手だよね。」 「は、はい…。そうですよね。」 「ルカ姉がこんなに心配してるのに。いっそ嫌いになっちゃえば?」 「でも……メイコさんを……」 「うん?」 「それでも、きっと私はメイコさんを嫌いになんて……」 なれません、と咄嗟に出た言葉。 今まで怒っていた相手なのに、何故か愛しくてたまらない感情が溢れてきた。 やっぱりメイコさんは、ずるいのだ。 いつもいつも、私が嫌いなれないのを知っているのだから。 「分かってんじゃん。」 とリンは満足げな笑みを浮かべた。 「めー姉は仕事大事にしちゃうからね。自分の事よりも。」 「……はい。」 「ルカ姉の心配に気が付けなくて、今反省してるんじゃない?」 「そうでしょうか?」 当たり前でしょ!と笑うリン。その明るい笑顔に勇気を貰った気がした。 「めー姉、今自分の部屋にいるよ。」 「……謝りに行ってきます。いきなり感情的になってしまった事。」 「うん。それがいいんじゃない?」 頑張ってね、と付け加えたリンにお礼を言い、私は部屋を出た。 *** 「……喧嘩するほど仲がいいって事かな。」 一人ルカの部屋に残されたリンが呟いた。 今頃はメイコの部屋でもミクがメイコを説得しているだろう。 だから、仲直りにそう時間はかからないだろうな、と思いつつ立ち上がる。 「やっぱり二人はいつもの仲良しがいいよね。」 そう呟いて、リンはルカの部屋を後にしたのであった。 ・*・*・*・*・*・ ゆのさんリクエストのルカメイで喧嘩話でした! たまにはリンを出したくて…… 直接的な喧嘩表現はないんですが、最後にはハッピーエンド…という事で! ゆのさん、リクエストありがとうございました! [*前へ][次へ#] |