2 私MEIKOは今、この6年の人生の中で、最大の壁にぶち当たっていた。 その壁とは、勿論最新式のボーカロイド巡音ルカの事だ。 桃色の柔らかな髪をなびかせ、彼女の甘そうな唇で囁くのは 「メイコさーん!胸触らせて下さい!」 勿論私はいつもこう答える。 「黙れ変態。殴られたいの?」 「そういうプレイですね!!分かります……って、メイコさん痛いです。」 我ながら冷たいとは思う。ルカだって冗談で言っているのかも知れないが、それにしたって姉妹で交わされる会話ではないと思う。 私はため息をついた。 「私、馬鹿みたい……」 そう呟くと、先ほどまで考えていた事をまた思い出してしまった。 どうやら私は、ルカの事が好きらしい。 姉妹的な意味ではない。女性として、一人の人間として愛してしまった。 なにもあんな変態に惚れなくても……とは思うが、好きになってしまった物は仕方ない。 時折見せる穏やかな微笑みや、他人のためを思う優しさなどにどうしようもなく惹かれてしまった。 つまり気がついたら恋していたという事だ。 「ああ…私、中学生以下ね。あ、でも今の子は進んでいるらしいし、それ以下の恋愛スキルって訳か。」 勿論思いを伝えたい気持ちはある。 ただ問題なのは、私が自分から告白した事がないということだ。 これは私から告白する勇気を、大きく奪った。さらに相手は女だ。いきなり言われて驚くな、というのは無理というものだ。 大体相手はあのルカ。美人で、モテる。私に毎日言ってくる言葉も、 「あれは冗談ですよ?誤解させてしまってすみません。」 とか言われたらきっと私は立ち直れない。 また大きくため息をつく。 普段の姐御肌な私らしくないと言われそうだが、私にだって悩む事は沢山ある。 とくにここ数週間はルカの事で頭がいっぱいだった。 おかげで何もかも調子が狂う。 視界の端に桃色が映ると目で追ってしまうだとか。 何気ない笑顔にドキドキするとか。 私に向けて言ってくる言葉の全てが嬉しいだとか。 そんな私はどこかバグでもあるのだろうか? ああ、もう、何もかもが苦しい。 こんなに悩むくらいなら、 「明日……さりげなく聞いてみようかな。」 私の事本当はどう思ってるの?と。 後日、顔を真っ赤にした嬉しそうなルカが見れたとか見れなかったとか。 ・*・*・*・*・ ( °∀°)o彡°さんリクエストありがとうございました! メイコ独白難しい…!まさかのルカ登場シーンがありませんでした。 告白前夜かどちらかが好きだと気がついた瞬間というリクを頂きましたが、今回は告白前夜を書かせていただきました…! リクエストありがとうございました! [*前へ][次へ#] |