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clone&...[ルカメイ]<1>

※現代パロです。一部クローンやカイメイ表現あります。苦手な方はブラウザバックでお戻り下さい。






私は上手く笑えているだろうか。
右手に持ったシャンパングラスに映るのは、私の曇り顔。
この華やかな結婚式場には相応しくない表情である。

「ルカ!来てくれたのね、ありがとう。」

ふと声をかけられ振り返れば、そこには純白のドレスを纏った愛しい人がいた。

「…ああ、メイコさん。ご結婚おめでとうございます。」
「何よー暗い顔しちゃって。ルカもきっとすぐにいい人が見つかるわよ!」

安心しなさい、と笑う彼女の笑顔が今だけは少し憎らしい。心臓を裏からわしづかみにされたような、そんな苦くて苦しいような気持ちになる。

「そうですね、ご心配をおかけしてすみませ…」
といいかけると、私の声は不快な男の声によって遮られた。

「めーちゃーん!ドレス着替える時間だよー。スタッフさんが、めーちゃんを探してたよ。」
「あら、カイト…?もうそんな時間なのね…」
しかし、面倒だわ、と文句をいうメイコさんの顔は、とても幸せそうで。
ニコニコと隣で微笑む青い男が、余計に憎らしく思えてきて、私は思わず歯噛みする。

「カイトさん、この度はご結婚おめでとうございます…」

精一杯の笑顔で、社交辞令を述べてやれば、男は嬉しそうに笑った。
それにつられたように、メイコさんも照れたように笑う。

私はそれらの何もかもが気に入らなくて、許せなかった。何より、メイコさんを私が幸せにしたかったはずなのに、メイコさんの隣に居るのは何故カイトなのだろうか。答えは明確だった。
それは私が女だからであり、私ではメイコさんに結婚という幸せは絶対にあげられないからだ。

「それじゃ、お色直しに行ってくるから。また今度飲みにでもいきましょうね、ルカ。」
「じゃあルカさん、ごゆっくりー」

そう告げて、メイコさんはその愛する人とともに私の前から去っていった。
純白のドレスがふわりと揺れて、視界を掠める。

いよいよ私は平静を装い、笑っている事がなんだか馬鹿馬鹿しく思えてきた。
そして、少しづつ前から準備してきたある計画を思い起こし、それを必ず成功させようと決心したのだ。

「メイコさん、さようなら。」
カイトさんとお幸せに、と呟き、会場を後にするべく、出口へと向かう。

この時、私の頭の中をしめていたのは、悔しさでも愛憎でもなく、未来への希望ただ一つだった。
メイコさんがカイトの物となってしまったのならば、彼女のクローンを作ってしまおう、と。


***

「ただいま帰りました。」

ガチャリと自宅のドアを開ければ、MEIKOは私を出迎えにきた。

「お帰りなさい、マスター。」
ニッコリと微笑むMEIKOの顔をみて、私も微笑み返した。

そう、10年という歳月を捧げ、私は遂にメイコさんのクローン『MEIKO』を生み出した。元々大学でそういった方面を学んでいた私にとっても、人間のクローンを作るというのはかなり苦戦した。
MEIKOを作るにあたって、整った設備や機材を得るために、今や大学教授の地位についている。

私の10年間…いや人生はMEIKOのために捧げたといっても過言ではない。

当時就職が既に決まっていた私の、研究職に就くための努力は凄まじい物だったに違いない。それも全て、メイコさんへの愛からくるものだった。


「マスター?」
考え事をしていた私を不安に思ったのか、MEIKOは不思議そうな顔で私の顔を覗き込んだ。

「ああ、すみません…。ちょっと考え事をしていまして。」
「大丈夫?具合悪いの?」
尚も心配そうな表情を浮かべるMEIKOの頭を、優しく撫でてやる。
くすぐったそうに微笑むMEIKOが可愛らしくて、私はその柔らかい頬に口づけた。

「マスター…いきなりはビックリするわよ。」
「ふふっ、すみません。直ぐに食事の支度しますね。」

MEIKOと暮らしはじめてもう3年が経とうとしているが、ここ半年程の間にMEIKOの表情は大分豊かになった。
生まれたばかりのMEIKOは、外見はそれこそメイコさんだったが、知能は赤ん坊のようだった。しかし、私が根気よく色々と教えるうちに、徐々にメイコさんに近づいていったのだ。

そのため私はMEIKOが表情を浮かべる事一つとっても、嬉しくて堪らないのだ。




・*・*・*・*・*・*・*・

もはやプロットの段階で、長くなるのは分かっていたんですが…
すみません、この話はまだ続きます。近いうちに2を書き上げるので、しばらくお待ち下さいませ。

カイメイ←ルカな話が書きたかった、ただそれだけです。執着するあまりに、自分を慰めたいばかりに、クローン技術に手をだす背徳感とか…出せてたらいいです…ゴニョ

マスメイに影響され、めーちゃんにマスターって呼ばせたかった。私の趣味です。伏線とかではない。
そしてクローンとかそこら辺の知識は、完全に捏造です。突っ込み所は多々あると思いますが、見逃して下さい…



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あきゅろす。
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