*Dearest*
31.泣かない※シリアス微裏閲覧注意
「はい?」
「だから、その…またお前に会いたいらしい」
「ああ…」
「また隣国の首領がお前に会いたいと言ってるんだ。交流を深めておかなければ後々の外交に響く…悪いがまた頼んだぞ」
「……」
言い訳なんて…初めから通用しない。
もう嫌だ。なんて、言えやしない。
オレがこうすることで里に貢献できるなら…
「やあ、相変わらず綺麗な顔をしてるね君は…」
言いながらオレの肩を抱く中年のオヤジ。まあ、下心を隠さないのも年の功か。俺は然り気無く回された腕を払いつつ営業スマイル。
数年前に火影会議で俺を気に入った男。木の葉に多額の寄付をしているらしい。そして、男好き。
「ご無沙汰しております、首領」
ああ、吐き気がする。
「お待たせして申し訳ございません…」
「いいんだよ、じゃあ。行こうか…」
怪しげな笑み。肩を抱かれ向かうのは地獄の時間。
甘い媚香がこれでもかってくらい漂って、真ん中に布団一枚。俺は花魁かと思う。
でも、正直媚香がなきゃやってらんない。
「っく…」
「可愛いね…もっと鳴いてごらんよ…」
延々と痛みだけ。
鳴けるもんか。好きでもないのに。
だから…相手をすり替える。
あの綺麗な銀髪の子に抱かれているのを。
「カカシ…」
聞こえない程に小さな声で呟く。
痛みが消えてく。
「あッ…」
カカシ…カカシ…ごめんね、俺は…。
「また待っているよ」
「はい」
作り笑顔。領主は満足げ。
でも、ちょっとだけ胸を刺す罪悪感。
火影室に戻ると直ぐに机に向かう。大量の書類が積まれていた。とりあえず、目を通そうとするも急な眠気に机に突っ伏してしまった。
「せ…せん…先生!!」
ハッと顔を上げるどうやら仕事中に寝てしまったらしい。昨日の疲れか…書類はまだほとんど片付いてない。
「カカシか…ごめん、ちょっと疲れてて…」
顔を上げると目の前にカカシの顔があった。
「な、なに…?」
「先生…それなに?」
カカシが指差したのは首筋。
っ…まさか!!
慌てて鏡を取り出して見ると、案の定キスマーク。
「あ…これは…」
「ねぇ、首領が来るといつもそんなですよね?何で?」
真っ直ぐな視線が痛い。俺は思わず目を伏せた。
言えるもんか…嫌われる…そんな事を考えていた僅かな間の後に唇が奪われていた。
「え…?」
唇が離れて、カカシはまた真っ直ぐに俺を見た。
「さっき聞いたんです。というか、聞き出しました。先生、どうして断らないんです?」
微かに怒りが感じられる声音。
「俺は…嫌だ。先生が泣くのを見るのは嫌です」
「なに…言って…泣いてなんか…」
気付かなかった。俺の目からは涙腺が決壊したみたいに涙が溢れていた。
「…オレが守ります。先生…好きです」
その清い告白は自分の汚れきった身体にはもったいなくて…だけど、暖かくて、また泣いてしまった。
オレは子どもみたいに泣きじゃくりながら「好きだ」と繰り返した。
カカシは笑いながら抱き締めてくれた。
ーそれから、何故か首領は俺を呼ばなくなった。
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やっちまった第二弾。これも意味不明というか文章稚拙ですね…分かってますー。そして微エロ黒。シリアスが好きなんです。←←
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