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銀魂小説
この時だけは、振り返る・土みつ
その風は大切な者との別れか。
その風は新たな出会いか。

その風は何を意味するのか。



昼の風。そよそよと穏やかに心地良い風が吹く。

墓石の前に立ち、手に持たれた花束と激辛煎餅をそっと手向ける。

「あの日も丁度、こんな風に風が吹いてたな。」

見送る彼女の姿を何度も振り返る生意気な彼女の弟に

振り返るなと、一言叱咤したあの時の記憶。

振り返らずとも脳裏に浮かんでいたのは

きっと自分達が見えなくなるまでずっと、

いや、見えなくなってからもずっと、

見送り続けている彼女の姿。


今日だけは。今日、この日だけは彼女を振り返る。

駆け上がる為に落としていった数々の大切な物。

自分はこんなにも汚く、冷たい人間だ。

でも、それを悔いる事は今までもこれからも決して、決して無い。


大将に。あの背中についていく、
あの背中を守る者となる、そう決めたあの日から。


ふと、かすかな声が聞こえた気がした。

本当にかすかだが、確かに聞こえた

「分かっていますよ。」の声。

脳裏に浮かぶ、愛しい者の姿。




男はそっと瞼を閉じると、墓石に向かい黙祷をささげる。

じっくりと黙祷をささげた後、振り向く事はせずに、前を見据え、さって行った。


優しい風がそよそよと吹く墓地の中で

墓石と、3つの花束と煎餅の袋だけが

彼の背中を、いつまでも眺めていた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここまで読んでくださってありがとうございました。

何気に3Zじゃない普通の銀魂小説はこれが初めてです。

しんみり系で書いてみました。
初土みつです。
3つの花束とお煎餅は土方以外の分は日が変わった直後に来た沖田、隊員が起き出す前に来た近藤の分です。

土方は非番です。
この後、日が傾きだした頃に銀時がお煎餅を持って現れます。




さて、今度はもっと明るい土みつに挑戦するつもりです。

その時もぜひ読んでやってくださいね。

最後になりましたが、読んで下さった方に少しでも楽しんでいただければ
嬉しく思います。




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