[携帯モード] [URL送信]

幻想ノ噺


着いたのは僕の部屋じゃなかった。

ぽすっとベッドに座らせられる。



「な、何で?」

「ふふ…私も明日から一緒にここで生活するんですよ。」

「で、でも、シェイは天使…」

「仮ではありますが、今は人です。見た目は変わりませんけどね。」

「でも、どうして?」



そしたら、ふわりと僕を抱きしめ、優しく髪を梳かれながら…



「言ったでしょう?」



―――側にいてほしい、と…。



甘く、柔らかく、とろりとしたシェイの声が、僕の鼓膜を震わせた。



「共にいるためなら、私はなんでもする。…共にいたいんですよ。同じ世界で、同じ命で、同じ目線で、貴方と共に…」



嬉しいやら、恥ずかしいやらで僕の顔は真っ赤になる。



「ねぇ、類斗…」

「シェ、シェイ!?」



ぺろりと耳を舐められ、びくっとする。
それが、更に恥ずかしさを煽ってしまう。



「ねぇ、類斗…」

「ん、な、何?」

「私ね、」



―――永遠に貴方と一緒にいたいんです。



「こんな気持ちは、狂ってますか?おかしいですか?」



シェイが、あまりにも泣きそうな声をするから、苦しそうな声をするから、だから…



チュ…



言葉を言うより先に、キスをした。
だって、これが僕が出来る最上級の声なき愛の言葉だから。



「僕の、想いはね…、もう、言葉じゃ表せないんだ。…キス、とか、抱き着くとか、こうして指を絡めるとか…。そんな表現じゃなきゃ、表せないくらい」



―――シェイが好きなんだよ。



暫く沈黙が降りた。
その間も、指を絡めあったまま僕らは動けなかった。
けど、時が経つに連れて、僕は何をしたか、何を言ったか、何をしているか、気づいてじわじわ羞恥心が湧いてきた。

ど、どうしよう。
今、僕、羞恥で死ねるかも…。



「あ、あの、手、ってうわっ!」



ドサッ!



押し倒され、目の前には天井をバックにしたシェイ。



「類斗、」

「は、はい!」

「抱かせて…っていうか、抱きます。」

「えぇっ!ちょ、シェイ!あふっ…んむ…」

「可愛い類斗が悪いんですよ。」



えぇっ!?そんな理不尽な!

結局、その夜、気絶するまで愛されました…。



[*前へ]

15/15ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!