幻想ノ噺 3 着いたのは僕の部屋じゃなかった。 ぽすっとベッドに座らせられる。 「な、何で?」 「ふふ…私も明日から一緒にここで生活するんですよ。」 「で、でも、シェイは天使…」 「仮ではありますが、今は人です。見た目は変わりませんけどね。」 「でも、どうして?」 そしたら、ふわりと僕を抱きしめ、優しく髪を梳かれながら… 「言ったでしょう?」 ―――側にいてほしい、と…。 甘く、柔らかく、とろりとしたシェイの声が、僕の鼓膜を震わせた。 「共にいるためなら、私はなんでもする。…共にいたいんですよ。同じ世界で、同じ命で、同じ目線で、貴方と共に…」 嬉しいやら、恥ずかしいやらで僕の顔は真っ赤になる。 「ねぇ、類斗…」 「シェ、シェイ!?」 ぺろりと耳を舐められ、びくっとする。 それが、更に恥ずかしさを煽ってしまう。 「ねぇ、類斗…」 「ん、な、何?」 「私ね、」 ―――永遠に貴方と一緒にいたいんです。 「こんな気持ちは、狂ってますか?おかしいですか?」 シェイが、あまりにも泣きそうな声をするから、苦しそうな声をするから、だから… チュ… 言葉を言うより先に、キスをした。 だって、これが僕が出来る最上級の声なき愛の言葉だから。 「僕の、想いはね…、もう、言葉じゃ表せないんだ。…キス、とか、抱き着くとか、こうして指を絡めるとか…。そんな表現じゃなきゃ、表せないくらい」 ―――シェイが好きなんだよ。 暫く沈黙が降りた。 その間も、指を絡めあったまま僕らは動けなかった。 けど、時が経つに連れて、僕は何をしたか、何を言ったか、何をしているか、気づいてじわじわ羞恥心が湧いてきた。 ど、どうしよう。 今、僕、羞恥で死ねるかも…。 「あ、あの、手、ってうわっ!」 ドサッ! 押し倒され、目の前には天井をバックにしたシェイ。 「類斗、」 「は、はい!」 「抱かせて…っていうか、抱きます。」 「えぇっ!ちょ、シェイ!あふっ…んむ…」 「可愛い類斗が悪いんですよ。」 えぇっ!?そんな理不尽な! 結局、その夜、気絶するまで愛されました…。 [*前へ] [戻る] |