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狂気ノ噺


痛いなんて叫ぶ暇もなく、彼らは着々と僕を壊していく。
体から響く醜い音。
口に広がる鉄錆と吐瀉物の味。

骨、何本いったんだろ?内臓破裂してるかもな。

だんだん耳が遠くなる。景色だって霞んで見えない。
色としてだけ存在する今の僕から見た景色に、そっと別れを告げる。

ホント、ろくでもない人生だったなァ。

父さん母さんが交通事故で亡くなって、親戚にたらい回しにされた揚句、遺産を全て持って行かれたし、とんでもない施設に入れられた。

小・中と、そのことでいじめられたし、それはどんどんエスカレートして一時入院する羽目になった。

高校はそんな事がないようにと、小中高一貫の全寮制の男子校に入った。
そしたら、男なのに告白されるし、拒めば襲ってくるし…。
友人だって、押し倒してきて、拒絶したらこの様だ。
ただでさえ、いろんな信奉者から制裁を受けていたというのに…。

もう、いい加減疲れた。



「つか…れ、た…」



そう呟いた瞬間、血の臭いが一段と濃くなった。

僕が刺されたんだろうか?
まぁ、どっちでもいい。さっさと、この世界とお別れしたいんだけど?

痛みが加えられなくなった。不思議に思うけど、どうしてか確認する術が僕にはなかった。

ただ、闇に引き込まれていくさなかに、真っ赤な天使たちが三人見えたような気がした。



――――――――――――――



ねェ…。

僕、十分頑張ったよね?
もう父さんと母さんとこ逝っていいでしょ?

もう、目覚めなくていいでしょ?

酷い世界、苦しい世界、つらい世界。

僕には、その程度の価値しか見出だせなかった。

もっと生きたかったか、と問われれば、勿論そうしたかった。

でも、もう疲れた。

これで十分。

18年間、生きてきて何か言えるとしたらそれは決して感謝の言葉じゃない。

それは…



「ごめ…なさ、ぃ…」



生きていたことへの、懺悔の言葉。



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あきゅろす。
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