学園ノ噺
2
必死で走って、エレベーターの下三角ボタンを連打して、1階のボタンを押し、閉まるボタンを連打。
続いて、1階に付けば開くボタンを連打して、寮監室までまた猛ダッシュ。
「か、管理人さーんっ!!」
「おわっ!どうし」
「どうしたも、こうしたも、な、何かが見えて、別世界がオープンで、な、え?ここ?は?」
「…うん、落ち着こうか。」
落ち着けるかぼけぇ!!
と、叫べたらいいのに…。
とても強烈ピンク世界が見えてしまった。
そりゃもう、童貞…のオレにはきつい光景が。
童貞だよ、ちくしょー!!
エロ本とAVと右手がお友達だよ!
悪いかっ!
顔のつくりが恐ろしく平凡すぎるんだ!!…と信じたい。
「セックスしてたのでも見たんでしょ?」
「そ、そんなあからさまに言わんでください!まだ真昼間ですよ!?」
「あの子には、時間なんか関係ないからね。」
「そうですか。…じゃなくて!!」
「あー、わかった、わかった。とりあえず、部屋ん中おいで。」
「…すみません。」
どうぞ、と案内された寮監室は、お兄さんの部屋も兼ねているようで、本やらPC、生活雑貨があった。
「はい、お茶。」
「あ、すみません…。」
適当に座っていると、差し出されたマグカップには茶色い液体。
まぁ、紅茶だが…。
「あのさ、枕木君。君は、ここの噂知らないの?」
「噂?」
「あー、その分だと知らないみたいだね。」
そりゃもう、特待生の制度にしか興味なかったですから。
好きなことを極められるわ、生活は保障されてるわ、バイトしなくていいから作品制作に全部時間回せるわ、って良いことずくめだもの。
「ここはね、ある女性たちに大人気の学校なの。」
「はぁ。」
「男と男のイチャイチャとか、チューとか、セックスとかね。」
「最後が露骨です。」
「ま、いわずもがな、巷で大流行の腐女子だね。一部、貴腐人とも呼ばれるみたいだけど。」
「…なんか、見えてきました。すご〜く気づきたくないことが。」
「ごめんね、気づかせちゃうけど。男子校で、思春期で、全寮制、性欲は真っ盛り。ベクトルは自然と同じ男に向けられるってわけ。」
「エロ本とAVと右手か左手で十分じゃないですか!なぜそこで同性に走った!?」
「アハハ…」
お兄さんの渇いた笑いに、受け入れて諦めるしかないのだろうか?
流石に、女の子との青春は諦めてたけどさ。
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