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SS置場5
バイト9 E

久しぶりのバイトしりーず









「あ・・・れ?」
週末になってバイトに向かったキャスケットは、扉を開けた途端 思っていた人物とは違った顔が出迎えた事に
面食らって立ち尽くす

この前、遂に この部屋で先輩と寝た。
以前、外で寝たのを数えると二度目のローとのセックスで、当然今日も彼とするのだろうと思っていたキャスケットは
この状況についていけない
(な・・・んだろ。もしかして、俺、何か粗相をしたんだろうか)
俺が嫌で 先輩は来なくなったんだろうか
一瞬、そう考えて表情を曇らせたキャスケットに気付いているのかいないのか、初めに会った時から変わらぬ
にこやかな笑顔でバンが滑らかに口を開く
「久しぶり。 無事退院したんで今日から復帰なんだけど」
「あっ」
言われて漸く思い出す
そうだ。"先輩"は バンが不在の間の代理だったんだ
俺が気に入らないとか関係なくて、バンが戻ったから居ないだけだ
「そ・・・っか、退院したんだ。見たとこ 普通に元気そうだけど、もう完治したの?」
病み上がり、いや、怪我なんだろうか? 入院の理由も聞いていなかったと思い出しながら声を掛ければ いやいや平気、と
バンは手を振っている
「少しは心配してた?」
くす、と笑ったバンがすぐに言葉を継ぐ
「それとも、"先輩"じゃなくてがっかりしちまった?」
「、・・・っ」
にこにこ顔のバンには特に意図は含まれてなさそうで、久しぶりの顔合わせに放たれた軽口だと知れる
(だから、動揺、すんなよ、俺!)
「バッカ言うなって、先輩じゃなくて安心したんだ!俺あの人苦手だもん」
こんな言葉を聞かれでもしたら、また散々からまれそうだとローがここに居ない事に胸を撫で下ろす
「はは、そんな事言っていいのか? "先輩"が"見て"ないとも限らないぜ?」
バンの言葉に どきりと心臓が跳ねた
「まさか。」
そんな事ないと口で言いながらも 妙にカメラが気になる
(ああ、まずい・・・)
先程のバンの言葉がカメラの向こうの目を意識させてしまった
きっと、今夜はバンとベッドインする事になるのに。
カメラの向こうにいるかもしれないローの目を、自分は感じてしまうに違いない
「どした? 早く入れよ。夕食作るんだろ」
キャスケットの飯食うのも久しぶりだ、ちょっと楽しみにしてたと言われて玄関を上がる
食べ終えて風呂から出る頃にはカメラを忘れていればいいのにと期待しながら、キャスケットは忘れられない自分を
ひしひしと予感していた







「ん・・・、」
久しぶりに触れてくる手は、以前から何度も抱かれ慣れた手なのに、ひくん、とキャスケットは胸を震わせた。
バンの手を押しのけてしまいたい衝動を抑えて唇を噛んでいると、つい・・・と その唇に指先が触れる
「今日は 随分感じやすいな」
"先輩"に開発された? それとも、カメラが気になって余計に感じる?
ゆっくりと、なぞる指でキャスケットの唇を開きながら 耳元で囁くバンの笑顔がにこやかなだけに、それを意地悪に
感じるのは自分の気のせいか。
「ち、が・・・っぁ、」
胸の尖りに触れられて、びくりと跳ねた肩は感じている身体を誤魔化しようがない
「ぁっ、あ、っぁ、」
くるくるとバンの指が肌の上を伝う
久しぶりのくせに キャスケットの感じる箇所を忘れていないのか、その動きは的確にキャスケットの息を上げていく。
今、この瞬間を見ているはずの視線を感じて 乱れたシーツの上で身をくねらせながら いやいやと声もなく首を振る
そんなキャスケットを弄るバンが 喉の奥で小さく笑いを零した
「あは、感じ過ぎてツライ? 声、出せばいいのに。その方が楽だろ」
感じまいと我慢するだけ辛いのに・・・と 含み笑いのバンが、楽にしてやるからと足の間に手を伸ばす
「ん!や、っ」
入ってくる指を思わず締め付ける
その為の器官じゃない場所なのに、既に性器と変えられたそこは 与えられた刺激に素直な反応を見せる
仰け反ったキャスケットの脚が ぶるぶると戦慄いて、くぅっ、と喉から声が漏れた
「これ以上は我慢できないだろ。 中、いつものとこ、触ってやるから」
2〜3度、抜き差しして感触を確かめた指が 入り口付近、第一関節を曲げた辺りのしこりへと伸びていく
「カメラなんて忘れるくらい、乱れちまいな」
「んん!んっ、」
思わず伸びた腕が バンの首にしがみつく
前立腺をこねられて 堪えきれない声がひっきりなしに上がり始める
バンの耳元でそんな声を聞かせるつもりなんかないのに、勝手に漏れる声は抑えられない
「良い声。 煽るの上手いな」
煽ってるつもりなんか!と思うのに、文句を言う余裕もなくて 下から睨むのが精一杯のキャスケットを バンが
楽しそうに眺めている
「だからソレ、そそるんだって」
ちゅ、と降ってきたキスは軽く触れるだけのもので、目の前のバンは"可愛いなぁ、あんた"という顔で笑っていた
そのくせ 予告も無しに、ぐい、と押し入ってきた熱は遠慮なく深々と自分を貫いてくる
「っは、ぁ、」
ぎゅっと目を閉じて最初の衝撃を遣り過ごすキャスケットの耳に、バンが ぼそりと囁いた
(ローのじゃないと、イヤだったか?)
「っ!!」
混沌に意識が紛れようとしていた瞬間の言葉は 飛びかけていた理性を引き摺り戻し、今の自分の状況をまざまざと
自覚させる
思わず力の入ったキャスケットは うっかりバンを締め付け、そのタイミングを狙って動き始めた熱に内壁を擦られ、
ひぁっ、と喘ぐ声が喉から零れた
くすくすと笑うバンに見透かされている気がして思わず言葉が口を突いて出る
「そ、なんじゃ、ないって、」
口にしたところで この場での否定は無駄だった
どう足掻いても 確信を持っているらしいバンは笑顔のまま言葉を続ける
「そ? 例えば、ここ。」
言いながら、彼は下になったキャスケットの顔の横に手をついた
「ここに、"先輩"が手をついて 俺達を覗き込んでいたとしたら?」
ひく、とキャスケットの肩が揺れる
ただでさえカメラの先に居るかもしれないローの目を意識しているのに、言葉で誘導されれば容易に視線を想像してしまう
どおよ? と自分を覗うバンの肩の向こうに、にやりと笑うローの、目を。
「参加してくるだろうな、あいつなら。ちょっと、考えてみな」
ほら、これが "先輩"の手だと思ってみろよと囁きながら、つぅ・・・、っと バンの手が首筋に触れる
「あっ!」
びり、と電気に触れたようにキャスケットの背が跳ねた
にこやかな笑顔のまま次々と這い回る指に、のたうちながら 「あっ、や、ゃめっ、バン!やだ、」 と、切れ切れの声を上げる
「イヤな事ないだろ? 反応、全然違うじゃないか。このまま、続けような」
さっきから"やめろよ"と訴えているのに 穏やかな物腰に反してバンは容赦ない
「ひぁっ」
コツン、と中のイイところを突きながら、ほら、コレも、ローだと思っていいぜと密やかに囁かれて、キャスケットは涙目で睨んだ
(やっぱり、バンって いじわる、だっ  先輩の事は、今は忘れていたいのにっ)
与えられる刺激に散々翻弄されながらも、その日、最後までキャスケットの脳裏からカメラの向こう側の目が消える事はなかった









 不確かな存在が伝える視線 

まざまざと浮かぶのは その存在が強烈、だから









3Pを入れる前に話が終わってしまいそうなので変則的な3Pを。ローが本当に居たかはまだ決めていません。
元々バイトはえろすを書く為のシリーズでしたが転校生と一部雰囲気かぶってきたのでバイトは終わらせようかなと。



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あきゅろす。
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