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SS置場10
吸血鬼パロ3(前編)
わー 時間切れ!飲み会やら検診やらで書くのが遅くなりました。1話完結のつもりが前後編になった…
吸血鬼パロ番外のリクをもらっていたので。短めの短編です。








目の前で何が起こっているのか。

ハンターを生業としているペンギンは その磨いた動体視力でもはっきりとは見えない動きに言葉を失う。
"無謀だ"と止められていた仕事を請け負ったのは断りにくい義理があったせいもあるのだが、キャスケットが
教えてくれた情報の出所がどうにも掴めなかったせいもあった。
互いにハンターとしての従事した期間は同じくらい。
彼が特別な情報源を持っていない限り、ペンギンと同じ手順を踏んでいるはずだ。
寧ろ、一匹狼として知られていた彼はペンギンよりもこの手の情報を交わす知り合いは少ないくらいだろう。

(多分、依頼主は同じ。仕事に失敗して消息を絶った彼から新たな情報が伝えられた形跡もない)

ペンギンが依頼主から与えられた情報はキャスケットが手にしたものと同じ内容のはず。
だとすれば彼があの時告げたターゲットの実力はキャスケットが直接対峙した時の実戦に基づいたものだ。

(俺が会ったときのキャスケットは五体満足でどこにも怪我の様子はなかった)

ドクターストップだという話は本当かもしれない。
だが、ペンギンにはそれよりも彼がハンターという職業を退いたのはその時の狩りが原因ではないかと思えた。
見た目には分からないが、彼は件の吸血鬼との対決で生業を続けていけない致命的な傷を負ったのではないだろうか。
(だが、そんな怪我をしたハンターが無事な姿で存命しているのは不自然だ)
キャスケットの忠告の言葉を疑うつもりはなかったが彼にはまだペンギンに話していない何かがあるような気がする。
その疑問の解決の糸口になるかと思ったのも依頼を受けた理由の一つだった。

ペンギンとて己の身は大事だ。
命を賭してまで無謀な狩りを全うするつもりはなかった。
断りきれなかった依頼には、代わりに依頼主の知らない某かの情報を得てそれを提供することで勘弁願おう。
ペンギン自身、気になっていた事を探る意味でも利害は一致する。
依頼主を納得させるには多少の危険を伴う調査も必要で、だが、調べていくうちに不可解な結果に眉を顰めることになった。

ペンギンの手にした情報はひとつの場所に収束している。
それは、キャスケットとローのいるあの屋敷に他ならなかった。

昼間は何度か訪問した場所だ。
だが、ペンギンは夜のあの屋敷を知らない。
そうなってみると別れ際にキャスケットが寄越した忠告すら意味ありげに思えて仕方ない。
(あの場所に もしも、何かあるとしたら)
そこに住むキャスケットは 本当に無事なのだろうか。

ペンギンが、"彼ら"の本格的な活動時間に疑念のある場所を訪れるという危険極まりない行動に出たのは そこに
知人がいるからという理由ではなく、心配の方が勝っていたからだった。




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