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SS置場8
仮想恋愛(KP・疑似恋愛2)
前回更新はjunk置場でした^^
今日は以前殴り書きしたキラペン(疑似恋愛)の"なんとなく続編"です。定番。恒例の蛇足的続編です











上陸して間もない慌ただしさから解放されて、今この島に居るのはどういう奴等か情報収集に回ろうと思っていたキラーは
人混みの中、ドン!と激しくぶつかって危うく傍の塀につっこむところだった。
普段なら少々のことで蹌踉けることなどないのに島に着いたからと少し浮かれていたようだ。
そもそも、上陸後すぐだというのに島民以外の情報を探ろうとしたのは 某海賊団の航路が自分の船と重なっていないかと
気にしたからだ
(ペンギンが居ないかと考えた。浮つきもするはずだ)
同じ性を持つ間柄だからか いつまでも甘い雰囲気にならない相手のことを自分が気にしているのには気付いていた

(初めはそんなつもりじゃなかったんだ)
だが、何を考えているか掴み所がない彼の事が、気付けば気になる存在になっていた。
有り体に言えば、キラーは らしくないことに彼の船が島に着いていないかと気もそぞろだったのだ。
ぶつかった相手は何も言って来ないが、余所見していたのは自分の方かもしれない
「すまない、大丈夫だっ――・・・あ」
大丈夫だったかと尋ねようとした相手は キラーの探していた服装をしている。
生憎、求めていた人物ではなかったが、この顔には見覚えがあった

20cmは身長差がある相手は下から見上げるようにキラーを眺めているが、その目付きはどうも友好的なものじゃない。
世間話のついでに航海の予定を尋ねたり、ともすればペンギンと連絡を取ってもらえないかという考えが頭を過ぎったが、
どうも彼からはそんな穏やかな会話が交わせるような空気は伝わってこない
「・・・ああ。悪かった、酷くぶつかってしまったか」
彼の不機嫌は当たり所でも悪かったのかと思って口にした言葉は睨み付ける視線で否定される。
「謝って貰わなくて結構。わざとぶつかったんだからな」
「わざと?」
敵対する船に乗る者同士とはいえ、この敵愾心は少し強すぎるように思える。
このところ、彼等の船とはいざこざを起こしてはいないはずだ。だとすれば、他の原因といえば心当たりは"彼"のことだ。
「もしやとは思うが、ペンギンに横恋慕しているのではあるまいな」
「してねぇよ!」
思わずだったが、浮かんだ考えはキラーの中で咀嚼する前に口を突いて出てしまっていた。
だがそれは間髪入れずのキツイ声に否定される
じゃぁ、その目付きは何だと問う前に 彼と同じ船員服を身に着けた男が言葉を続けていく。
「けどな!俺はおまえらの逢い引きには反対だかんな!」
てめえみてーないい加減なヤツはあいつの相手にゃ絶対に認めねぇ!と鼻息荒く反対されて、腹を立てる以前に面食らった。
「ちょっと待て。おまえはペンギンから何か聞いてるんだな? 俺と会っているのを知っているだけじゃないのか、他に何か
知っているのか」
「ふざけんな!」
あまり自分の事は話さないペンギンの事を聞いてみたかった。
彼がキラーとの関係をどう考えているのか、この男が何か聞いているなら教えて欲しい。
話を切り上げようとする男の腕を掴む、だがその手は直ぐに、思ったよりも力のあった相手から振り払われてしまう
「ルーキーの1人だか知らねぇが!ペンギンは誰とでも簡単に遊ぶような奴じゃねぇんだ、あいつは大事な仲間なんだよ!
あんないいヤツ弄びやがって、てめえはペンギンにゃ絶対近付けねぇし、船の周り彷徨いたら叩っ帰してやっかんな。
二度とそのツラ見せんじゃねぇ!」
バシッ!と叩かれた腕よりも男の剣幕に気圧された。
"どういう事だ。 ペンギンは こいつに俺に遊ばれてると話して聞かせたのか"
キラーは 思った以上に動揺している自分を感じた。
それに戸惑い、迷っているうちに男が立ち去るだけの隙を生んでしまう
(・・・いや。 あの剣幕じゃまともに話してもらえないだろう。彼等がこの島に居る事が分かったんだ。どうにかして
ペンギンと連絡を取って本人と話そう)

なんとか届けたキラーからの伝言を手にしたペンギンが、船を抜け出してキラーの待つ宿へ姿を見せたのは
どちらかといえば深夜帯というよりも早朝に近い時間になってからだった。






「すまない、随分待たせてしまった」
今日はもう会うのは無理かと諦めかけていた頃に現れたペンギンは、顔を見せるなり謝罪を述べた。
「抜け出すのに手間取ってしまって・・・」
言い辛そうに語尾を濁すその様子でピンときた
間違いない、昼間のあいつの差し金だ。
昼のうちに彼の仲間と会った事を話すべきかと考えている間に、ペンギンの方から白状する
「実は いつも協力してくれてる相棒が最近機嫌が悪くてな」
今日も口論してしまったところなので、うまく協力を仰げなかったと頭を下げる。
どうやらペンギンは昼間会ったあの男からの反対はキラーには話すつもりがないらしい。
あまりにも水くさいだろう。俺にも関わる事なのにと自分でもなんとも言えない気分になった。
そうなのだ。
この男がキラーの事をどう考えているのか、この機会に確かめてみるべきかと思っていたところだ、丁度良い。

「その、反対・・・されてるんじゃないのか。俺と会う事を」
そうされても仕方のない敵船だからなと沿えて言ったキラーの言葉で 目の前の男が慌てるような顔をした。
普段から冷静そうに見えるペンギンのその様子は 隠し事を言い当てられて慌てたのか、それとも他に理由があるのか。
「い、や・・・、別に・・・」
そんな事は無いと言い切れないのだろう。いやに歯切れが悪い。彼の通常を知っているわけではないが、それは
ペンギンらしくなく、また、違うと嘘が吐ききれないところは彼らしいと思った。
「無理するな。それでなくとも船長同士、うまが合うとは言い切れない船だ。知られれば反対する声も上がるだろう」
「無理なんか・・・」
反論したそうな顔をするくせにペンギンは途中で言葉を切った。
次にキラーを見た彼の目には 僅かだが不安の影が見え隠れしている気がする
「おまえは? 無理をしているのか?」
ペンギンの言葉からは "おまえは?"という、その一言をいうだけにしては思い切るような重みを感じた。
たったそれだけを聞くのに、何をそんなに構える必要があるのだろう
「俺は・・・」
最初が最初だった。 元々彼に目を付けていたのは自分ではなくて、キッドの目を覚まさせる為に先に手を付けたのだ。
普通に考えれば そんな経緯で始まった関係を続けるのは歓迎される事じゃない。
だからと言ってそれを彼に話すわけにもいかないのだが。
一瞬言い淀んだことで サッとペンギンに緊張が走ったのが見て取れた
「あ、いや。別に何も言われちゃいない。 見逃されてる、という感じだが、キッドは何も言わないだろう」
「そうなのか?」
顔に出さないようにしたかったようだが、そうかと漏らすペンギンからは明らかに安堵の気配が漂っている。
あまり表に出さない彼にしては珍しいのではないか
(それは、つまり)
楽しみにしているかは未だ不明だが、少なくともキラーとの逢瀬が無くなるのを嫌だと思っているということだ。
「なんだ、そうか」
そう分かった時点で キラーの方でも安堵のようなものを感じた。
どうも 自分で考えているよりもキラー自身、彼に執着していたらしい。
納得したような声を出したキラーの顔を ペンギンが探るように見る
あまり感情に左右されない奴だと思っていたが、こうして見るとまた別の感想が浮かんできそうだ。
言葉の続きを待っていたようだが眺めるだけで話さないキラーの態度に焦れ、気になっているのを
遣り過ごせなかったらしいペンギンが"そうかって何がだ"と聞いてくる。
ベッドに腰掛けていたキラーは そのペンギンの腕を引き、腕に抱き寄せながら ドサッと背中から倒れ込んだ

「っおい、」
いきなりなんだと言いたげな声も、さっきまでの彼を見ていると照れ隠しのように思えて自然と笑みが浮かぶ
「ペンギンって 思ったより・・・」
抱き締めて寝転びながら 思わせぶりに言葉を濁す。
すると、彼は思ったとおり、慌てた様子で抱き込まれた胸から顔を上げた。
普段取り澄ました顔が 何を言われるのだろうと焦る気持ちを隠しおおせずに狼狽えている。
それが堪らない気持ちにさせて、キラーは思わずその唇にキスをした
「んん、んっ!」
抗議を言っているらしいが やったもの勝ちだ。 こうして宿まで忍んできたのだから彼とてそのつもりで来ているのだから。
(何を考えているか分からない難しい奴だと思っていたが、難しく考える必要はなかったんだな)
たっぷりと口内を味わって離れた唇は、はぁ、と息を漏らしただけで文句は出てこなかった。
2人の唾液で濡れて光るそれは男のものといえど色っぽい
その唇をおまけとばかりにぺろっと一舐めすると、サッと ペンギンの頬に赤みが射す
(可愛い、と言ったら殴られるだろうな)
始まりがどうだったとしても 変に構える必要はなかったのだと思うと開放的な気分が胸に広がる。
過去がどうであれ、今はこうして付き合っているのだから何も問題はない
遅まきながら キラーはその事に気が付いたのだ
「さっき言いかけてたことだが」
まだ キスの余韻が抜けていなかったペンギンが、キラーの言葉で ハッと目を見開く。
くすっと口角を上げたキラーは 安心させるように彼の背を撫でながら言葉を続けた

「思ったより、俺達は互いを気に入ってるみたいだな。無理させるかもしれないが、こうして会うのを続けないか」

更に大きく目を見開いて固まっているペンギンの唇に ちゅ、と軽く口付ける
「断るなら今のうちだと言ってやりたいが、生憎俺は別れるつもりがないからな。反論は受け付けない」
そう言ったキラーの唇に、驚きから立ち直ったペンギンが、言葉で表すのは得意じゃないとばかりに、今度は
彼のほうから情熱的に口付けてきた










 仮想恋愛

その先へと歩を進め仮想から現実へ









これ、キラーに突っかかるシャチを書きたかっただけなんです。そしたら何故かハピエン風になっちゃいました。
不条理カップルになると思ってたのに!
あ、シャチとペンギンの間に恋愛感情はありません。ペンギンも愚痴を言ったんじゃなくてシャチに協力して貰ってるから
キラーと会うと話しただけです。で、シャチが二人が付き合ってるんだという前提で話すので、迷惑をかける事になっては
困るからと、付き合ってはいない、たまに会ってるだけでただのセフレなんだと誤解を解いたんだと思います。
きっとそんな流れだったんでしょう。



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