戦国BASARA
【孫政】幸福の蒼・烏
(戦国)(女×男)
遠い、いつだってアイツは遠い。
ついこの間まで、あんなに幼く愛らしい顔立ちをしていたというのに。
・・・今は、手が届かないほどに美しくなった。
肉眼ではもう見えないほど、天高く飛び上がり蒼の空を駆ける。
それが悲しい、というのは少し違うけれど。
「・・・・・・フフ、らしくないな」
我らでなく、私が、あの清い竜を欲しがるなんて。
・・・私のただ一つの望みだと、奴に請えば事態は変わるのかなんて。
愚問だな、あのひどく輝きを放つ瞳に、私一人を映させるなんてもったいない。
むしろアイツが見ている世界を、・・・私が守ってやらなければな。
「・・・でも、不思議だな」
お前と同位置だと思っていた幼少の私は、お前のただ一人の友人であれればよかったのに。
・・・・・・なんて、私は本当に烏だな。
友達、だなんて最初から無理だったのに。
あの頃から私は、お前の儚げな姿に惹かれていたのだろう。
・・・伊達、だけだ。
こんな真っ黒な烏に夢を魅せてくれたのは、伊達だけだ。
お前がそばにいてくれれば、なんて嘘・・・だけど。
「せめて、想うぐらい許せ・・・伊達」
「勝手にしな、俺もそうするからよ」
・・・驚いた、何故ここにいるんだ。
久々に驚いた私の前には、眩しいぐらいの蒼色があった。
・・・・・・私の、求めていた美しい竜。
「三代目も案外、cuteな所あんじゃねェか」
「フフ・・・お前ほどではないがな」
「Ah・・・あのな、三代目?cuteって言うのは、可愛い!って意味でなァ・・・」
あたふたと赤面しながら弁解する、伊達の何と愛らしいことか。
フフ、分りきっていたことだが。
私はもう、お前の蒼を忘れられそうにないよ。
お前がたとえ、私をいつか忘れてしまっても。
「伊達、お前がほしい」
「・・・お前、マジで女かよ・・・っ」
今は、これでいい。
私の隣で照れて顔を覆う、お前の好意を見ているだけでも。
ただ決めた、もう迷うことはないだろう。
竜の隣で共に飛ぶこと、そして何より。
「結婚式はいつにする?」
「Why・・・!?おっ、俺はまだ何もっ」
祝福のウエディングチャペルを鳴らすのは、私だけだということだ。
短い!お粗末様でした。
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