あなたに恋していいですか?
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昼になって一人で2年校舎に来ていた。影か薄いからか、学年が違うからといって特に…というか全く目立つことなくすんなりこれた。
だか声をかけるとなると話は別だ。それが彼女となればなおさらだ。この僕でさえ。
その時の僕はそんなこと気にもせずに入り口の近くにいる人に声をかけた。
「あの…すみません。」
聞こえていないのか、会話をとめない。まあ、当然だろうと思った。
今度は練習のときくらいに大きな声をだした。
他の人に比べれば全くでてないだろうけど。
「あの、千川凛さんいますか?」
とりあえず名前をだしたら、教室や周りがいっさいの会話なしに静かになった。
さすがの僕でも戸惑いを隠せなかった。
これはどうしたらいいんだろう。
すると、沈黙をやぶるように一人の女の人が近づいてきた。
「私だけど……何かご用?」
僕は言葉を失った。
これほど綺麗な人がこの学校にいると思わなかった。
先輩たちの言葉を半信半疑で聞いていたが、今なら信じられる。
火神くんでさえあんなに頬を染める理由がわかった。
この気持ちは初めて体験する。
「あの……?」
声をかけられて我にかえった。焦ってとりあえず何かしゃべろうと思ったが、思うように声がでなくて声が裏返ってしまった。
恥ずかしくて咳ばらいをしたら彼女がふふっと笑った。
かわいい。ただそれだけだった。
主旨を忘れかけていたので、忘れないように今度こそ口をひらいた。
「あの、生徒手帳を落とされていたので届けに来ました。この前はぶつかってしまってすみませんでした。」
真っすぐ彼女の顔を見れないので少し俯きながら手帳をポケットの中から取り出した。
「あぁ、キミはこの前の!わざわざありがとう。拾ってくれてたんだね。よかったー、見つかって。」
安堵の息をつき、胸に手をあてて大人びた笑みをうかべた。
そんな彼女に手帳を渡そうとして手を出したら手が小刻みに震えていた。
何か心の奥底から震えているようだった。
その原因はまったくわからないので僕は少し怖くなった。
無意識に眉にしわがよっていたので自分では気づかなかった。
すると何を思ったのか彼女は僕をくるりと半回転させて僕の背中を押して廊下に出て歩きだした。
「おいで。お礼にジュースでもおごってあげる。」
何が起きてるのかよくわからなかった。ただ、教室からの視線を感じたので気づかないフリをして彼女についていった。
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