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貴女へ
 茶子さま。

 こんにちは、こんばんは。
 もしくはおはようございます、かな?
 貴女がどこらへんに行ってしまったのか(時差とかよく分かんないしね)分からないので、そこは適当に解釈しておいて下さい。

 お元気ですか?
 私は、元気です。

 最近夜寒くて、ちょっと風邪気味だけど大まか元気。
 ちゃーちゃん(で良いよね?)の本名を知らなかったので、宛名は勝手に『茶子』にしておきました。

 ついでに新しい住所も知らないので、多分この手紙はちゃーちゃんに届きません。
 ごめんなさい。テレパシーで送るからね。

 名前について。

 えと、叔母さんがちゃーちゃんのこと、時々そう呼んでいたからなんだよね。
 私は小さな頃からあだ名で、ちゃーちゃんって呼んでたけど……。

 貴女がかなり年上ってことも気にしてなかったよね。
 今考えればちょっと恥ずかしいかも。

 まず、謝んなきゃいけないことがあります。
 ちゃーちゃんのお別れ会、行けなくてごめんなさい。

 部活とか委員会とか、学校生活で色々忙しかったんだけど、それをしょうがないって思ってもいるけど。
 やっぱり頑張れば、すっごく頑張れば。
 最後の最後、会いに行ける時間も出来たんじゃないかなぁって思う。

 試合でも何でもない、普通の部活の練習と。
 ちゃーちゃんとのお別れ会、それを比べれば、お別れ会のが勝っていたかな、と。

 あ、笑わないでね?
 今更だってことも、充分分かってます。
 それ以上言わないでよ、お姉ちゃんにもお母さんにも散々言われたんだから!

 そして。

 こうやって手紙を書く段階になって、ちゃーちゃんのことを色々思い出しました。

 病気になったちゃーちゃんを半ば無理やり車に乗せて、病院に連れて行ったこと。
 私の食べているお刺身をじーっとちゃーちゃんが見てて、年甲斐もなくねだっていたこと。

 深夜になっても戻ってこないちゃーちゃんを、叔母さんがとても心配していたこと。
 小さな私とお姉ちゃんと、一緒に遊んでくれたこと。

 どれも、ささやかで日常的で、幸せな思い出です。


 中学校に入って、ちゃーちゃんに会いに行く時間もなくなって。
 本当に久しぶり、と言う前にちゃーちゃんは行ってしまいました。

 さようなら、も言うことが出来なかったので。今ここで勝手に、伝えておきたいと思います。

 さよなら、ちゃーちゃん。元気でね。
 いつになるか分からない未来、貴女と再会出来ることを願って。





 住所→天国
 宛名→叔母さんの愛猫であった、ちゃーちゃんさま。


【終】


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あきゅろす。
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