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近接戦闘型魔術師(仮)
私、結界が得意なんです……すみません

「はい……すみませんでした」
「入学早々……凄いわねー。これまで結界を張ってまで居眠りをしようとする生徒なんて一人も見たことなかったわ」
「……すみません」

 ……ただいま、担任の先生に職員室で説教を食らっております
 ……HR(ホームルーム)でも自己紹介でも、誰も壊せない結界の中で寝てたなら怒られるのは当然である

 ……自業自得というやつですか……

「それにしても……随分と強力な結界を張ってたのね。まだ入学したて、しかも160位だったっていうのに」
「結界術と封印術は得意なんです」

 得意、ということにしておく
 まぁ実際、結界はあんまり得意じゃなかったりするけど
 ちなみに封印術が得意なのは本当です。古代魔術だって効きません

「随分と人気のない魔術が得意なのね」
「気にしたら負けですよ」
「そう。ちょっと待ってて。お仕置きの「すみませんでした!」」

 最強AGIをここぞとばかりに発動し、超速で頭を下げる。こらそこ、無駄なとこで使うなとか言わない

「まぁ……いいわ。次から気をつけなさい」
「はい」

 ……助かったぁ

 失礼しましたー、と言って職員室を出ると……すぐ近くにクロナミがいた

「やぁやぁ、奇遇だね。偶然だね」
「どう見ても待ち伏せしていたようにしか見えない……」
「気のせい気のせい。偶然だよ…………たぶん」
「……もういいわ」

 諦めは肝心である。クロナミ相手に真面目に話をする必要はない気がする

「ところでもう平気なのかー、あのデレモード」
「デレモード言うな、精神汚染ね。……というか思い出させないで。死にたくなる……」
「いいじゃないか、可愛かったぞ」
「だから『今』の私はそんな風に誉められても嬉しくないから」
「照れない照れない」
「照れてない!」

 ……幸い、私の体質である精神汚染『フェミニゼーション』についてバレたのは、学院内ではクロナミだけだ
 大丈夫……きっとやっていける

「ん。そういや今も俺の目を直視してるみたいだけど、平気なのか?」
「平気だよ。左目はいま見えてないし、右目は色を変えてるだけで『鷹の眼』が発動してる」
「へえ。それじゃ、さ。鷹の眼をしたまま左目で異性の目を見るとどうなんの?」
「…………相手の目を見ている間だけ精神汚染に懸かる。目を離せば三秒半くらいで元に戻るよ」
「良いこと知った」
「もうクロナミの前じゃ絶対に隙を見せないから、気にしなくてもいいよ」
「えー……なら隙を探す」
「……」
「自覚ないかもしれないけど……デレモード時のエリィは最高に可愛いぞ。あれをもう一度拝むためならなんだってやるぜ!」
「……だめだこいつ、早く何とかしないと……」

 ……絶対に隙は見せないようにしよう

「あ、そうだ。クロナミ、今から寮の方に遊び行っていい?」
「ん? 男子寮に来るのか」
「そうだよ」
「まぁいいけど、気をつけろよー。エリィ結構有名人だからな」
「……なにがどう有名なのか後でじっくり聞かせてもらうから」
「あいよ。17号室な。鍵開けとくから」
「もう一人は?」
「いない。そいつ自分の家近いから寮生活拒否って自宅から通うってさ」
「へえ」
「というわけでデレモードに「なるか!」」

 ……まぁそんなこんなで、私はクロナミの部屋に遊びに行くことになった



 P.S. 私の部屋はフィオナと同じ22号室だった。イェイ!

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あきゅろす。
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