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午前ゼロ時に、






――――あの螺旋階段で助けられたとき、不覚にもカッコいいと思った。



誰にでも平等に接するあいつと一緒に居られるようになったのは、出会った2日後だったりして。



あの方を間近で見ることができる。あわよくばあの方と同じフィールドに立てる。

そして、あいつと毎日近くにいれる。



確かに思ったんだ
なんでこんなにも願いが叶うのだろうかと



結局失ったものは今までの幸せ以上のものを代償に奪っていって。



だけどそんな気まぐれな重税を課せる神様も、ひとつだけぬくもりを残してくれたりして。やっぱり気まぐれだ。








午前ゼロ時に、










「……落ち着いたか?」


「…………、」



優しく、まるで壊れ物を扱うかのように俺の頭を何度も撫でてくる大きな手。帝国のゴールを守る、大きな手。


鬼道さんが帝国の女王と言うのなら、こいつは帝国の王だ。ただ、王にしてはみんなを平等に愛しすぎて、どこか物足りない。



「……………き、」


「…え?」


「……好き、源田」



今は何時だろうか。
源田が親に友達の家に泊まると電話をしてから何時間経っただろう。月の光は太陽の力を借りて力強く室内を照らして、暗いと言うことはない。



「……な、にを言いだすんだ…佐久間?」


「………好きだって…ッお前がいないと生きていけない……ッ」



何時間か前に出し切った筈の涙は、また源田の首元を濡らす。


彼は今、戸惑っているだろう。今までチームメイトくらいとしか思っていなかった奴がイキナリ、こんな体制でこんな発言をすれば、慣れた言葉でも動揺するのは致し方無い。



「お、前は……鬼道が好きなんだろう?」


「お前が好き…………なぁ、」



キスしてくれよ、源田



そういって口を寄せれば、彼は我慢の限界だというかのように、俺にかぶりつく。





(誰だって良いから…今は)
(誰か俺を暖めて)





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