恋愛小説 『愛be』 『愛be』 「飛蝗(バッタ)、僕はどうしたら君に逢えるだろう。」 一匹の蝶々が言った。 蝶々は重たい羽をもたげ、空を見つめた。 「君がこんなにも好きなのに。」 その日、 一匹の蝶々は、無いはずの涙をこぼしていた。 ***** 「蝶々、蝶々…」 小さく呼ぶコエに蝶々は目を覚ました。 最近見つけた寝床は飛蝗しか知らない。 「飛蝗っ!!」 飛蝗の姿を見て僕は悲鳴を上げた。 傷付き、羽はボロボロになり、脚が無くなっていた。 「良かった、君に会えた。」 嬉しそうに言う飛蝗に僕は駆け寄った。 走っている間に鱗紛が舞う。 飛蝗はそれを眺め、笑いながら言った。 「蝶々は綺麗だね。」 僕が駆け寄った時、飛蝗は既に息をひきとっていた。 ***** 飛蝗、 飛蝗、 短い命の中で、君と出逢い 短い命の果てに、恋をした。 ありがとう。 その日、 一匹の蝶々が一匹の飛蝗に寄り添うように死んでいた。 END [*前へ][次へ#] [戻る] |