恋愛小説
『大阪らびっと』
『大阪らびっと』
"大阪らびっと"
それは今人気のストラップだ。
大阪のご当地商品であり、その出っ歯のうさぎはお世辞にも可愛いとは言えない。
しかし、全国から買い求める者は後を絶たないのだ。
それはある噂からだった。
『大阪らびっとを持っていると笑いがやって来る。』
馬鹿げた噂である。
しかし――…
現在、私の手の平には出っ歯のうさぎが乗っていた。
******
「これ、やる。」
ぼんやりと窓の外を眺めていた私に慶介が渡したのは、今話題のストラップだった。
「私に笑えって?」
皮肉っぽく言った私に慶介は無言でストラップを渡した。
そして…
今にいたる。
私は最近婚約者に逃げられたばかりだった。
「こんな物…」
私はそれを床に叩きつけた。
バキィと音を発してうさぎは砕けた。
しかし、その砕けたカケラの中に小さな紙があった。
「何…これ?」
拾い上げ、広げた。
「ぁはは…何よ、これ?ばかじゃないの?」
私は紙を机に置くと部屋を出て慶介を追いかけた。
小さな紙、それは何度も消した跡があった。
(俺はお前が好きだ。)
笑いを届ける
"大阪らびっと"
あなたもおひとついかが?
END
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