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ジールは彼が完全に見えなくなるのを確認するとチアキの方向に向いた。



「ねー?なんとなくわかったでしょ?あいつが町を破壊したって」

「………」

「チアキちゃんも泣いてアオイにすがりついてみればいいのに。それもそれで楽しそうだったのになぁー…」



チアキは震える体を押さえつけながら、ジールを驚いた眼で見ている。


今まであんなにいい人だと思ったのに、それが今までの勘違いだという結論をだすのに時間がかかった。




そう、彼がアオイを止めて、病院に入らせたのは自分を助けるためなんかじゃない。




自分の絶望の目を楽しみたくて、


わざと仕向けたのだと。



「いいね、チアキちゃんのその顔。俺そういうの見るの大好きなんだ〜!」

「っ…!」


背を向けようとするがすぐに肩をつかまれ、遮られてしまった。

そしてチアキの顔に近づけ、まじまじとジールはチアキの表情を観察した。


「まぁ、ちょっとかわいそうだからイイこと教えてあげるよ。」


無理やり顔を合わせられた。
聞きたくないのに。それでもジールは続けた。

とても嫌な予感が胸から離れない。




「アオイはね、記憶を失っていくんだ。心とともに喰われているんだよ?異例な力を手に入れた対価として」




チアキは目を見開いた。





「だから、力を使えば使うほど、いつかあいつの心は空っぽに乾いて、なんも感じなくなる。









……さて、心を失うと人はどうなってしまうのだろうね?」





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