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「てっきりやり返すものだと思ったぜ。お前もフック船長と同じように喧嘩は好まねぇのか」

「…生憎俺はエドアン程温厚でも心が広い訳でもない」

今のがもし2人きりの状況だったらまず殴らせねぇ。

あくまでも空気と状況をよんで大人しくしているだけだ。

全く悪びれる素振りを見せずに優々と煙を吐き出すノアに俺のイラだちは増していく。

「…それで、俺達にエデンかアリスの森に喧嘩をうって欲しいって言ったか?俺がそんな馬鹿な話を飲むと本気で思ってやしないだろうな…?」

妙な静けさが広がった空気と痛いくらいの視線が居心地の悪さを一層酷くした。

俺は意識をノアだけに集中させ余計なものを極力頭に入れないように努める。

「…ただでとは言ってない。これは頼み事ではなく取引だ。

もしこの2日間エデンかアリスの森のどちらかのエリアの囚人を俺達ネバーランドの囚人から遠ざけてくれるのなら、

2日後エドアンがネバーランドに戻ったその直ぐ後にアンタを信用してハイジをそっちに行かせる許可を出す」


「…中々面白い事を言うじゃねぇか。だがなぁ、別にこっちはお前の許可なんか取らなくても力ずくでハイジを連れて行けばいい話だからな。取引は成立しないんじゃねぇのか?」

「それは出来ねぇよ。絶対にな」

そう即答する俺にノアは眉を寄せ怪訝そうな顔をする。

俺はそんなノアを納得させる為にハイジに続きを促そうとすると、俺が言葉を発する前にハイジは間髪容れずに言葉を挟んだ。

「…力ずく何て絶対嫌だもん。そんな事するんなら俺ノアのおじさん嫌いになっちゃうからね。

それに兄ちゃんが駄目って言うんなら俺行かないよ。

だって兄ちゃんが駄目って言うのは俺を心配してくれてるからだもん。

力ずくで俺に何かするつもりなら覚悟してよね、俺も本気で抵抗するから」

拗ねたようにテーブルに突っ伏しプラスチックのコップをくわえ上下に動かしながらノアの顔を見上げてそう訴えるハイジにノアは呆れたように息を吐いた。

「…しっかり躾が行き届いてるじゃねぇか。どうやってそこまで懐かせたのか知りたいもんだな」



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