226 ベリーズの発言に眉を寄せていると、突然白髪の男に声をかけられた。 直ぐに声がした方へと視線を移すと白髪の男はわざとらしく俺から目をそらす。 「ま…まさかてめぇが、俺に殴られただけでビビるような軟弱野郎だとは思わなかったもんだからよぉ、悪かったなぁ?」 そう言って俺を下から睨みつけてくる小百合と言う男に俺は反応に困ってしまう。 …一応謝っているつもりなのだろうか。 判断が難しかったが、取り合えず返事を返さずに頭を撫でてやると小百合と言う男の表情が安心したように和らいだ。 その事から、さっきの喧嘩を売られたとしか思えない言葉が謝罪だったのだと言う事がわかる。 「次はねぇ」 男の白い髪を乱雑に掻き回し、それだけ言って俺は手を離した。 「2日後楽しみにしてるぜハイジ」 嫌な笑みを浮かべながらそう言うノアにハイジは嬉しそうに微笑んだ。 「俺もだよっ!ノアの箱船を探検するのがスッゲェ楽しみ。ありがとうおじさん」 ハイジは無邪気な笑顔で興奮気味にノアにハグをする。 ノアはそんなハイジの様子に一瞬驚いたような顔をしたが直ぐにハイジを左腕で抱き返した。 「心配ならお前も来るといい、ポーカーの相手を捜していた所だ」 「…初めからそのつもりだ」 ハイジを片腕に抱いたままそう言うノアに複雑な思いを抱きつつそう答えると、ノアは俺を鼻で笑った。 「お前本当に18なのか?ガキと話してる気がしねぇんだが」 そう言って俺を嘲笑うノアに、チェシャ猫にも同じ事を言われた事を思い出した。 まぁ何はともあれ、事が穏便に片付いた事に感謝するべきだな。 「さっさと来い、俺も暇じゃねぇんだよ」 俺達は嫌そうな顔をして首を食堂の入り口へと傾けるシン・アベルに急かされるようにしてノアの居る食堂を後にした。 BackNext [戻る] |