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何でそんなに怯えた目で俺を見るんだよゼロ。
俺がゼロをこんな事で嫌いになるとでも思ってるの?
違うよ。俺はゼロの本心が見えないから、強引に小百合からゼロを奪い返す事も、ゼロに優しい言葉をかけることも出来ない。
だから、そんな自分がもどかしくて、腹が立って、苦しいんだ。
「俺今、すっげぇムカついてる。何でかわかる?」
ゼロは俺の問いに、小さく首を横に振る。
「ねぇゼロ、何で一人で行ったの?
何で、ゼロは俺の為に体を張ってくれるのに、俺はゼロの為に体を張らせて貰えないの?
ゼロにはこうなる事が誰よりもよくわかっていた筈なのに。何で、俺に何も言わず一人で行っちゃうの?
俺が居るのに。
何で俺に助けてって言わねぇの?
ゼロを助けたいのに、何かぐちゃぐちゃしてて助けられない」
小百合に痛めつけられて、こんなにもボロボロになったゼロを俺は見たくなかった。
俺の知らない所で、ゼロが耐える事が出来ない恐怖と暴力で、俺を光へ導くあの強く気高いゼロの強い心を無理矢理へし折られ。
このままだと俺、この身勝手な怒りを全て小百合達にぶつけちゃいそうだ。
兄ちゃんの言い付けを破っちゃいそうだよ。
小刻みに震える右手の拳をよりいっそう握りしめる俺を見て、ゼロの瞳に光が宿った。
ゼロは自分を拘束する小百合の腕を見てもどかしそうに身じろぎ、俺の顔を真っ直ぐに見つめた。
「どうしたら…どうしたら言えたって言うんだよ」
痛々しい程に掠れた声で吐き出されたその言葉の意味を俺は理解出来なかった。
「俺達を守る為にそんなにボロボロになって、…眠れない程の痛みに苦しんでるお前に、助けて欲しいなんて…言える訳ねぇだろ」
俺の訴えに反論するようにそう告げるゼロに、俺は直ぐに口を挟む。
「こんなの俺にとって怪我の内に入らない。
仮に本当にボロボロだったとしても、それでも俺は言って欲しかった。言って欲しかったよゼロ。
そうすればゼロはこんなにも傷つく事はなかったかもしれない。
俺はゼロが俺の事好きだって言ってくれて、本当に、本当に嬉しかったんだ。
俺とゼロの間にあった壁が無くなったような気がして、ゼロがずっとずっと近くに感じられて、俺嬉しかったんだ。
それなのに、俺の知らない所で傷つかないでよ。
傷つけられないでよ。
俺を置いて遠くに行っちゃわないでよ」
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