[携帯モード] [URL送信]
6
天使で、男前で、包容力があって、強くて、頭よくて、冷酷で残忍だけど俺達には優しくて。

それでいて愛らしくて、エロいなんて。

俺は試されているのだろうか。

この天から舞い降りて来た、愛を知らない冷酷な天使を幸せにすることが出来るのか。

「お前に…欲情してしまうのが怖い。みっともなく求めて縋って、お前に拒絶されるのが…」

クララが最後まで言葉を吐く前に、俺はクララをありったけの力で抱きしめる。

「わかってねぇな」

耳元で話す俺に、クララは体を強張らせた。

「俺はな、クララ。誰よりも寂しがり屋なんだぜ?それはもう、常に誰かに必要とされねぇと気が狂うくらいに」

俺はクララの、まるで日の光を浴びた霜のように、キラキラと冷たい光を放つ髪に口づける。

「俺の心の中を見せてやりてぇよ。お前にさっき、俺が離れて行こうとするその時には殺して貰えるって聞いて、俺は…世界を手に入れたってくらいに舞い上がってるんだぜ?」

どうすればこの喜びを伝えられるだろうか。

クララの輪郭に唇を滑らせながら、一人幸せを噛み締める。

「俺をもっと強引にお前のものにしろよクララ。俺がそうしたように、太くて頑丈な鎖で俺を縛りつけてくれ。何があってもお前から離れることが出来ないようにな」

自分でも、発したその言葉の危なさに思わず笑ってしまう。

「何なら目をえぐり出してくれてもいいぜ?お前以外のものを見ないように。腕を切り落としてもいい、他の奴に触れないように。あ、でもそうしたらお前を抱きしめられねぇな」

何だか面白くなって、いろいろとふざけて提案する俺を見て、クララは何かを考えるように目を閉じた。

「何となく…何でお前が俺なんかを嫁にしたいと思ったのか、理由がわかった」

難しい顔をしてそんなことを言うクララが面白くて、笑みがこぼれ落ちる。






BackNext

23/59ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!