6
天使で、男前で、包容力があって、強くて、頭よくて、冷酷で残忍だけど俺達には優しくて。
それでいて愛らしくて、エロいなんて。
俺は試されているのだろうか。
この天から舞い降りて来た、愛を知らない冷酷な天使を幸せにすることが出来るのか。
「お前に…欲情してしまうのが怖い。みっともなく求めて縋って、お前に拒絶されるのが…」
クララが最後まで言葉を吐く前に、俺はクララをありったけの力で抱きしめる。
「わかってねぇな」
耳元で話す俺に、クララは体を強張らせた。
「俺はな、クララ。誰よりも寂しがり屋なんだぜ?それはもう、常に誰かに必要とされねぇと気が狂うくらいに」
俺はクララの、まるで日の光を浴びた霜のように、キラキラと冷たい光を放つ髪に口づける。
「俺の心の中を見せてやりてぇよ。お前にさっき、俺が離れて行こうとするその時には殺して貰えるって聞いて、俺は…世界を手に入れたってくらいに舞い上がってるんだぜ?」
どうすればこの喜びを伝えられるだろうか。
クララの輪郭に唇を滑らせながら、一人幸せを噛み締める。
「俺をもっと強引にお前のものにしろよクララ。俺がそうしたように、太くて頑丈な鎖で俺を縛りつけてくれ。何があってもお前から離れることが出来ないようにな」
自分でも、発したその言葉の危なさに思わず笑ってしまう。
「何なら目をえぐり出してくれてもいいぜ?お前以外のものを見ないように。腕を切り落としてもいい、他の奴に触れないように。あ、でもそうしたらお前を抱きしめられねぇな」
何だか面白くなって、いろいろとふざけて提案する俺を見て、クララは何かを考えるように目を閉じた。
「何となく…何でお前が俺なんかを嫁にしたいと思ったのか、理由がわかった」
難しい顔をしてそんなことを言うクララが面白くて、笑みがこぼれ落ちる。
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