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自分で言ってて何だか切なくなってくる。

「…まぁこう言う問題は当人同士にはわからねぇもんだしな。お前の好きにすれば」

「好きにするって…何を好きにするの?」

いまいちワンワンの意図が汲み取れず、そう聞き返す俺にワンワンはため息をつく。

「面倒くせぇなぁ…お前もうアイツ襲っちまえよ」

「…ぇ゛え?」

思わず俺が聞き返すとワンワンは名案だと言わんばかりに何度も頷いてみせた。

「襲っちまえばスッキリするぜ?アイツと親密な関係を築けるか、思いっきり嫌われるか」

「っ?!やだよそんなの!!ゼロに嫌われるなんてっ!」

思わず椅子から立ち上がり、興奮気味に否定をする俺を見てワンワンは悪い笑みを浮かべた。

「安心しろよ、ゼロに嫌われたら爆笑してやるから」

「それぜんっぜん嬉しくない!も〜からかってるでしょ〜…」

俺は深い溜め息を吐き出し、椅子の上で体育座りをして膝に顔を埋める。

ゼロに嫌われるなんて怖過ぎる。

って言うかその場合確実に俺、ゼロ大泣きさせた挙げ句それはもう心に酷いダメージを与える事になるじゃんか。

兄ちゃんを側で見ている俺が、ゼロにそんな事が出来るわけない。

俺にはゼロを罰したり、地獄に突き落とす理由が見つからない。


「名案だと思うけどな俺は」

俺は耳だけをワンワンの声に傾ける。

「だってそうだろ?訳のわからねぇむさ苦しい馬鹿な男共に犯られるよりはお前の方が断然いいだろ。

アイツが今日まで無事なのは奇跡に近い事なんだぜ?

フック船長に隙が出来てきた頃にたまたまお前らが入所して来たから他の奴らの気がお前らに向いてるだけであって。

本来ならアイツの代わりになっていたのは間違いなくお前だ。

だけどお前はガードの堅い妙な兄貴にガッチガチに守られてるし、本人も兄貴が居なくても身を守れるくらいに強いとなればその内、お前をモノにしたいと思ってる奴らも諦めるんじゃねぇか?」

「そーなの?」

まったく頭に入れていなかった事を言われて今ひとつピンと来なかった俺は、記憶を探る。

すっかり忘れてたけど、そう言えば労働の時とか、よく声を掛けられるような。

でも多分今は俺よりも兄ちゃんじゃないかなぁ。

この前食堂で眼鏡とバンダナ取っちゃったし…。

兄ちゃんレベルだと、強いからとか怖いからとか関係ない気がするけど。



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