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「おーそうかそうか、クララが一緒なら大丈夫だな。ゼロはどうするんだ?」

俺の背中を軽く叩いて嬉しそうに笑うエドアンをなるべく意識しないようにして俺はゼロへと目を向ける。

ゼロは一度、嬉しそうにニコニコしているハイジの方に視線を向け表情を曇らせた。

数秒間考えるように遠くを見つめた後、ゼロは俺を見上げた。

「クララ…俺も行ってもいいか?」

「別に構わねぇよ」

不安気にそう尋ねるゼロにそう返すとゼロはホッとしたように息を吐いた。

ゼロから感じる違和感に、ハイジと喧嘩でもしたのだろうかと思ったが、ハイジを見る限り喧嘩では無さそうだ。

やはり昨日何かあったのだろうかと考えを巡らせていると、肩に重力を感じた。

「悪いなクララ、2人を頼む。こいつらは俺が居ない時に刑務所内を歩けねぇからいつもネバーランドに居るんだ。だから時々連れ出してやってくれると助かる」

俺の肩に腕を乗せ、穏やかな表情でそう言うエドアンの目を見つめ返す事に俺は戸惑いを感じ、視線を少しずらす。

「俺達といる方が絡まれやすいような気がしないでもないが、こいつらが嫌じゃねぇなら別に構わねぇよ。俺としても色々情報を知る事が出来て助かるしな」

俺が遠くを見つめながらそう言うと、エドアンは嬉しそうな顔をして俺に熱い眼差しを送ってきた。

背中に変な汗が流れるのを感じる。

別にエドアン相手に緊張する必要は無いと言うのに、今朝からどうもエドアンの言動の一つ一つに過敏になっている自分がいる。

「クララ、歓迎パーティーが終わってから時間あるか?」

急にエドアンがそんな事を言い出すので反射的に顔をエドアンの方に向けてしまった。

「何かあるのか?」

冷静にそう返しながら、俺はどうやって目線を外せばより自然かを琥珀色の瞳を見つめながら考える。

そんな事をしているとエドアンの方が目線をゆらゆらと泳がせた。

「いや…なんつーか、これは完全なる私情だ」

「…私情?」

全く見当がつかず、俺がそう聞き返すとエドアンは再び俺の目を真っ直ぐに見つめた。

「昨日1日独房にいてお前と全然話してねぇからお前と2人で過ごしたい。俺はもっと沢山お前と話がしたいんだ。駄目か?」

エドアンのその言葉を聞いて、俺の体に初めてチェシャ猫に会った時と同じ位の緊張が走り、一瞬俺の思考は停止した。



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