330 「別に…構わねぇよ」 何とかそう返事を返すとエドアンは安心したように表情を緩めた。 エドアンは俺の返事を確認すると、新入りの情報を集めて来ると言ってネバーランドを出て行った。 「新人歓迎パーティーが始まるまで時間がありますし、クララさんはゆっくりしてください」 定位置であるネバーランドの入り口の前に座り込み、毛布を肩に掛けながらベリーズは俺を気遣ってかそんな事を言う。 「ねーゼロ。お昼まで何して遊ぶっ?」 「遊ぶって…お前やっぱり年齢詐称してんだろ。無駄にテンションたけーんだよ」 「だってだってワンワンが俺に首輪作ってくれるんだよ!どんなかなー、どんなかなー」 「首輪で喜ぶなよ…お前」 テンション高く絡んでくるハイジに、ゼロは複雑そうな顔をしながらも返事を返している。 ハイジとゼロが戯れている所を見て、2人が喧嘩をしている訳ではない事を確信した。 だがそうするとさっきのゼロのあの、ハイジを見つめる熱い眼差しは何だったんだろうか。 「房に戻らないんですか?」 ハイジとゼロを見つめながらベリーズの横へと腰を落ち着ける俺を見てベリーズは不思議そうな顔をする。 「俺はお前ら程体を使ってねぇから平気だ。それに…ここの方が温かいしな」 「僕は毛布があっても足りないくらい何ですけど。クララさんは寒さに強いんですか?お尻冷たくありません?無理するのはよくないですよ」 ベリーズは俺の返答を聞いて驚いたように目を見開くと、俺に毛布を半分差し出した。 そう言う意味で言ったつもりではなかったが、ベリーズの小動物を思わせる丸い瞳を見ている内にまぁいいか、と思う。 俺は半分差し出された毛布を受け取らずベリーズの体に巻きつける。 「遠慮しなくてもいいんですよ?」 少し寂しそうな顔をしてベリーズがそう言うので、別に寒さは感じていなかったが面倒なので右腕でベリーズを抱き寄せた。 キョトンとした顔で俺を見上げる大きく丸い目と、毛布の手触りによってよりベリーズが小動物に見える。 「俺はお前とハイジで十分暖をとれるから気にするな」 そう言ってベリーズの頭を乱雑に撫でるとベリーズは首を傾げた。 だが直ぐに、ゼロの腕を引いたまま俺の腕の中に飛び込んで来るハイジを見てベリーズは納得したように笑みをこぼした。 BackNext [戻る] |