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◇◇
「いやぁ、どうなる事かと思いました。だけどさすがはラクハさんですね。ものの数時間で敵を3分の1にしちゃうなんて普通出来ませんよ」
そう言ってベリーズは俺にキラキラと輝やく瞳を向ける。
「…出来る出来ねぇの問題じゃなくて誰もしねぇんだよ。
ノアを脅迫する奴なんて初めて見たぜ。
しかもあんなノアの陣地のど真ん中で…
船長がラクハを信用してる理由がわかってきたぜ、やっぱりお前らの心臓は異常だ」
俺とハイジを交互に見ながら再確認するようにそんな事を言うゼロに俺は直ぐに口を開く。
「…悪かったな、嫌な思いをさせて」
俺がそう言うとゼロは俺の言わんとする事がわかったのか気まずそうに視線を泳がせた。
「…別にお前は何も悪くねぇよ。例えノアが交渉に応じなくてもやってみる価値はあったと思うからな。船長が居ないって知って、俺達の運命もここまでだと思ってたんだ。けどお前らのお陰で希望が持てそうだ」
そう言って複雑な顔をするゼロに同意するようにベリーズも激しく頷く。
食堂を出た事でベリーズとゼロの表情に光が戻り、その事を1人安堵していると側で深い溜め息が聞こえた。
「シンが一緒だぁー嬉しいなぁ〜」
鼻歌混じりの満面の笑みでシン・アベルの左手を握り、ブンブンと振り回しているハイジの姿を見て溜め息の理由を理解する。
「…何が悲しくてガキとサイボーグのお守りをしなきゃなんねぇんだよ」
…サイボーグってのは俺の事か?
シン・アベルはハイジにだいぶ免疫がついて来たのか、ハイジの手を無理矢理剥がそうとはせずにされるがままになっている。
「で…どこに行くんだ、ネバーランドに送って行けばいいのか?」
不思議な生物を見るような目ではしゃいでいるハイジを見つめながらシン・アベルは俺にそう尋ねてくる。
「いや、せっかくお前がいるんだ。寄り道をさせてもらう」
俺がそう言うとシン・アベルは露骨に嫌そうな顔をした。
「どこに行くんですか?」
不思議そうな顔でベリーズは俺にそう尋ね、ゼロも不思議そうに俺の顔を見上げた。
「図書室だ。エドアンが昨日あると言っていたからな。悪いが案内してくれないか」
ハイジを持て余しているシン・アベルにそう言うとシン・アベルは怪訝そうな顔で俺を見た後、180度方向転換をしてハイジを引きずるように足を進めていった。
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