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◇◇
ーside HAIJIー
「ゴウンゴウン…ぴしゃー」
「ガタガタガタガタばいーん」
「スイーム…がちょん」
うーん、どれもあんまりしっくりこない。
「…うっせぇんだよハイジっ!!、隠し扉で遊ぶのやめろ!!」
「だって無音で動くんだもん。なんか寂しいじゃん」
洗面台が設置されている壁を叩いては浴室を出現させ出現させては叩いてを繰り返し、効果音をつけて遊んでいるとゼロに怒られた。
ゼロは睡眠を妨害するなと言わんばかりに俺に背を向けて眠る体勢になっている。
ゼロ冷たいなぁ…。
俺寂しいなぁー。
俺はゼロに怒られたので隠し扉で遊ぶのをやめて渋々自分のベッドへと潜り込んだ。
俺も寝る努力をしようと目を閉じてみる。
だけど20秒が限界だった。
目を閉じると包丁を持った母さんが居るんだもんなぁ…怖いよ。怖すぎる。
折角今日は嬉しい事もあったし、充実感もあるし、楽しい事もあったし、友達も増えたのに。
これだから夜って嫌になる。
朝まですごく長くて退屈だから嫌な事を思い出してしまう。
今日も寝るのは無理そうかも…、と諦め悪く寝返りを繰り返しているとゼロに声をかけられた。
もう寝ているものだと思っていたから少し驚いた。
「ごめんゼロ、静かにする」
寝返りをする音でゼロの気を散らせてしまったんだと思って俺は慌てて謝った。
…駄目だなぁ俺、迷惑かけてばっかりだ。
「…眠れねぇのか?」
「うん。まぁいつもの事なんだけどね」
ゼロが寝るまで俺散歩して来ようかなぁ。
でもそんな事したら確実に兄ちゃんに怒られるか。
けどゼロに迷惑かけたくないしなぁ…。
俺が深刻な問題に直面し、頭を悩ませているとゼロに名前を呼ばれた。
「…どうしても、どうしても眠れねぇって言うんなら」
その後に続く言葉が直ぐにわかってしまった俺は自分のベッドから勢いよく体を離すと、ゼロの居るベッドへとダイブした。
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