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…8。




少し落ち込んでいた気持ちも、些細な事で回復するから不思議だ。



一通りの案内を終え、最後に2Dの教室に案内されると、教壇の前に立って教室を見回した。


…なんか緊張するかも。


夢にまでみた教師だ。
俺の授業を真剣に受ける生徒達を想像して微笑むと、ふと視線を感じてそっちを見た。


「…っ?」


…なんだその目線。


勿論、視線の主は無限で、まるで品定めをするみたいに足元から舐めるような視線を受けてゾワリと背筋が泡立った。


そういえば何度か見られている感覚があったが、もしかするとずっとこんな視線を送られていたのかと思うとどうしようもなく不安になる。


長い足に腕を組み、緩くウェーブのかかった綺麗で艶のある濃い茶髪にちょいタレ目。フェロモン垂れ流しの雰囲気に息を飲んで思わず後退ると、狙ったかのようにじわじわと近付いてきて。



「…そういえば幾つだっけ。」
「…あ?はい…、今年、で23になります…」

「…ふーん。」
「!?」



とうとう無限は、ギリギリ視界がぼやけない距離まで顔を寄せ、いや本当、どうすればいいのかわからない。


…ち、近い。

「…っ、…なん、でしょう…?」


自分の息が顔に掛かるんじゃないかってくらい近くにある端正な顔に性的な意味じゃなくドキドキしながら、それでも平常心を保とうとする俺って偉いと思う。


…この状況、なんか嫌だ。


ピタッと時間が止まったように動けない自分は明らかに動揺している。
無限もそれに気付いてる。
なのに、わざとらしく神妙な面持ちをしたかと思うと、



「…翔汰先生って、童顔で可愛いね?」

「………。」





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