…14。
変わらない状況にどうすればと頭を巡らせ、それでも見た目は平常心を装ってみた。
だって、「じゃあ、いいです」なんて言えないだろ?
それこそ初授業失敗じゃないか。
「…朝比奈くん。
自己紹介を、出来ればチャームポイントも、ですよ?」
にっこりと微笑んで、出来る限り人畜無害の和やかムードでの俺の言葉は空気読めてないってわかってる!
けど今の俺には精一杯!
なんとかしろよ朝比奈!マジで!
もう泣きそうな(見た目は気合いで堪えてる)俺は、チラリと朝比奈が視線をズラした事に気付かなかった。
しかも視線の先は俺の後ろ、黒板の上に飾られた壁掛け時計で、それまでの沈黙が時間稼ぎだった、なんて今の俺には予想不可能。
「…えっと、朝比奈くん?大丈夫?具合悪いとかかな…?」
絶対違うと思いながら、それでも仕方なく教壇から降りると、朝比奈に近付いて覗き込むように顔を見た。
てか、他の生徒には気付かれないように軽く睨んでみたりして。
ちょっと俺怒ってるよ!を絶賛アピール中。
「……」
「……朝・比・奈・くん?」
にっこりと微笑みながら、ちょっとだけ強く名前を呼ぶと、
いつの間にか見つめ合う形になっていた事に気付けなかった俺って、本当に馬鹿だよな。
合ってなかった視線が絡んだかと思うと、チラリと視線がずらされて。
…ん?後ろ?
振り返った俺は、朝比奈の視線が時計に向けられている事にやっと気が付いた。
…は?えっ!?あと3分で授業終わりじゃん!
しまった!とこれまでの朝比奈の態度が時間稼ぎだと気付いても後の祭り。
てか、姑息。地味にガキっぽい姑息な手段ですよね。むっかつく!
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