…12。 「チャームポイントは、思わずキスしたくなっちゃうぷりぷりの唇です。」 「鍛え抜かれたこの筋肉!」 「美しすぎるこの顔!」 次々と発せられるチャームポイントは、なんていうか、 …変わった人種も多いみたいだ。うん。 あえてツッコまないけどさ。 思いの外に自己紹介で盛り上がり、授業時間はあっという間に残り時間も少なくなった。 残すところ、あと1名。 授業開始…いや、俺が教室に入ってからずっと、何とも言えない視線を向け続ける人物。 もちろん俺は、その視線に気付いていたが、敢えて知らんぷりを決め込ませていただきましたよ? …だって、ねぇ? 今まで不自然なくらいに合わせなかった目を合わせると、一瞬ピクリと肩を揺らして途端に視線を横に外した。 一連の動作で揺れた夕焼け色の髪が、サラリと一筋滑り落ちていくのを僅かに細めた目で見つめると、 …まあ、ね。 気まずいのはわかります。 俺だって、ファイルに名前を見つけた時はどうしようかと思ったし。 けど、せっかくだから多少は意地悪をしたかったんですよ。 ちょっとしたトラウマなんてモノを頂いた事ですし? 多分、彼は授業開始からずっと、自分がいつ呼ばれるんだろうと落ち着かなかったはずだ。 そして、薄々最後に回されるんだなって気付いてたはず。 にっこりと微笑むと、内心「ザマァ」と思っていたかは秘密って事で、ゆっくりと丁寧に最後の生徒名を読み上げた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |