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…22。






「ここで待ってて?」



職員寮から校舎まで、およそ10分ほどの道のりを、朝比奈と繋いでいた手をゆっくりと離した。



職員室は、ここ、職員玄関から入ってすぐだ。

さすがにここまでくれば、付き添いが無くても過保護な夏兄も文句はないだろう。

むしろ、授業中という事もあって、心配していた生徒との接触もなかったから、過保護な夏兄の心配は杞憂で終わっただけだった。


俺の言葉に、一瞬ついて来たそうな顔をした朝比奈は、それでも「わかった」と頷いてくれた。




それに、なんと言っても朝比奈は停学中。


俺の事や停学になった事情がどの程度で伝わっているかわからない現状で、もし朝比奈がいらない説教なんてくらったら嫌だ。


…授業中でも多少の教師はいるんだし。




私服の朝比奈をいつまでも一人で残しておくわけにもいかないと、「出来るだけ早く戻ってくるから」と言い残し、小走りで職員室の扉を開けた。


正直、どんな風に俺の事が伝わってて、どんな視線を向けられるのかわからないのは、怖い。
けど、立ち止まる事なく扉に手を伸ばせたのは、背後に感じる朝比奈の視線が、俺の背中をそっと押してくれている気がしたからだ。






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あきゅろす。
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