…21。
…ナチュラルに手なんか繋いじゃってるんですけど、どうしよう。放してもらってもいいかな?
こんなところ誰かに見られたらどうすればいいのか。
いくらやましい事が無いとしても、なんて言えばいいのかわからないじゃないか。
それでも、無言で振り払う、なんて事はしたくないから、お伺いを立てようと朝比奈の顔を盗み見ると、
「っ、」
…な、んだよ、それ。
だって、こんなの反則だろ?
俺が見たのは、真っ直ぐに前を見据えて歩く朝比奈の赤い顔で、つられるように俺の顔にも熱がこもるのがわかった。
「〜〜っ…ちょ、っと、急ごうか!」
居たたまれない気持ちで誤魔化し笑いをしながら歩調を早めると、今度は俺が引っ張る形になった。
「おう」って小さく返事をした朝比奈と繋いだ手に、どうしても意識が集中する。
…何でだろ、離したいような離したくないような。
自分でもなんでこんな気持ちになってるのかわかんないよ。
…振り払える気がしないんだもん。仕方なく、だよ。
頭の中で必死に言い訳を探す俺の後ろで、朝比奈が少し、笑った気がした。
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