…17。
「っ、…別に、」
泣きそうな顔で、焦って言い訳する俺から目をそらした朝比奈は、何だか頬が赤い気がする。
…もしかして照れてる?
その姿が、なんだかやっと年相応に見えた気がしてクスリと笑うと、繋いでいた手を両手で包んだ。
…だって、言うなら今だよね?
「あああ朝比奈っ!」
「っ、な、んだっ」
…失敗した!
変に緊張し過ぎて得意のどもりが出てしまった。
しかも、いつもなら「どもり過ぎだから」という朝比奈のツッコミもない。
「…あー…うー…」
おかげで上手く次の言葉が出てこなくて、朝比奈の手を両手で握りながら赤面してテンパってるという、なんとも残念な構図が出来上がってしまった。
…いや、俺はね、昨日のお礼を言いたいだけなんだよ?
けど、昨日の出来事が頭の中をループしちゃって、とんでもなく恥ずかしいんだよ!
なんとか次の行動に移りたいけど、なかなか動けない俺は、朝比奈が「なんだよ」とか言ってくれないかなぁ、なんて思ってみた。
だけど、こんな時に限って朝比奈は、何故かじっと俺の言葉を待ってて動いてくれない。何故だ。
このままじゃ埒があかないと、大きく息を吸った。
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