…16。 どうやら、いつの間にか笑みを浮かべていたらしく、そんな俺を怪訝に思った朝比奈が、歩調を緩めて俺をジッと見つめていた。 「あ、いや…、」 …そんな、改めて訊く態勢をとられても困るんだけど。 少し眉を下げて困った笑みを浮かべた俺は、気が付くと口を開いていた。 「…朝比奈って、格好いいなって、思って。」 「は?」 一瞬何を言われたかわからないって顔をした朝比奈は、すぐに真顔になって俺を見つめ直して。 「どこが?」 「え?」 …どこって、 「…服が…」 もちろん全部が文句なしで格好いいけど、この雑誌から出てきたみたいな“服”がモデルみたいに似合ってて、改めて格好いいなって認識したって事だけど。 「…服だけかよ。」 途端に不機嫌そうに顔を歪めた朝比奈に、誤解される言い方だった事に気付いた。 「違っ、もちろん服も格好いいけど、そうじゃなくて! 朝比奈がっ、雑誌からそのまま出てきたモデルみたいっていうかっ、あ、でも中身も凄く格好いいよ!本当、顔も中身も行動も、全部格好いいとか羨まし…」 …って、何言ってんだ俺! どんな褒め方だよ!恥ずかしいよ!しかも支離滅裂だから! [*前へ][次へ#] [戻る] |