…14。
「……」
…なんで?俺と一緒に居たくないんじゃないの?
すぐに部屋を出ようとしたクセに、自分と一緒に居てくれる意味がわからない。
「…一緒に、行ってくれるの…?」
「当たり前だろ。」
恐る恐る訊いてみると、直ぐに当たり前だって返ってきた。
「……。」
…でも、
だけど、本当は…
「……一緒に、居たくないんじゃないの?」
本当に聞こえるかどうかの大きさでポツリと呟くと、しっかり聞こえていたらしい朝比奈は、まるでバカじゃねぇの?と言わんばかりに呆れた声を出した。
「ハァ?…んなわけねぇよ。決まってるだろ。」
「……」
…決まってるって、そんなの知らない。
正直、物凄く強引で、しかも、何気に手なんて握られちゃってて恥ずかし過ぎる。
…けど、なんでだろ。
俺の二、三歩前をスタスタと歩く朝比奈をジッと見つめた。
…ちょっと、嬉しい、かも。
多分きっと、心のどこかで不安だったんだと思う。
またあんな事があったらどうしよう、とか。
もし誰かとの何気ない接触で過剰に反応しちゃったらどうしよう、とか。
でも、何故か朝比奈がこうして付いててくれるだけで、大丈夫な気がする。
なんでなのかは、まだわからないけど。
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