…13。 「――…だからね、別に無理に付き合ってもらわなくても大丈夫だから。」 さっきの夏兄との話を簡単に伝えると、黙って聞いていた朝比奈はゆっくりとソファーから腰を上げた。 「んじゃぁ、もうここにいなくていいんだな?」 「え?…うん…」 どこかホッとしたような朝比奈の言葉に、そんなに俺の部屋に居たくなかったのかな。と眉を下げると、そのままスタスタと玄関へと向かう朝比奈を追った。 多分無限の部屋へ戻るんだろう。 そりゃ、何もせずに課題が減るんならそれに越した事はないし、そもそも、俺の所為で停学になったんだ。そのくらい得していいだろう。当たり前だ。 「…じゃあ、後で課題持ってくから。わざわざありがとうな。」 見送ろうと一緒に玄関まで進むと、ドアを開けた朝比奈が振り返って俺を見た。 「…いいから行くぞ。」 「へ?」 そのままグイッと腕を掴まれ、靴を履くのもそこそこに部屋の外まで連れ出されてしまった。 …あれ? 「鍵。さっさとして。」 「え?あ。えっと…?」 「早くしろ。」 「はいっ!」 つい反射的にいい返事をして、鍵をかけちゃうところが俺の残念なところだと思う。 言われるままに鍵をかけ終えると、問答無用って感じで朝比奈に引っ張られて歩き出した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |