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…10。





入学式は粛々と進行していく。

一部、どす黒いオーラにあてられた者達以外は。



無限の半径3m以内にいる人間には、なんとも居心地の悪いものだった。

校歌斉唱、校長の話、来賓祝辞、新入生代表挨拶、生徒会からの祝辞…と、所々で如何にもBLっぽい黄土色の声が出た気もしたが、そんな事に意識が行かないくらいの居心地の悪さ。
勿論、初めてのイベントをじっくり堪能する暇なんてない。


結局、夏兄の理事長代理挨拶も耳からすり抜けていくだけで聞いていられなかったし。
新入生挨拶も初々しさの残る小柄な生徒が頑張っていたが、既にその記憶すらぼやけている。
生徒会長の顔に至っては、碌に見ることすら出来なかった。



…もう、早く終わってくれ!


さっさと職員室に戻りたい。
あ、でも確か始業式が終わったら副担も教室に行くよう言われてた気がする。


…いや、終わるな!てか、何とかして!




もうテンパり過ぎて、壇上での職員挨拶で何を言ったのか覚えてない。
多分、名前と教科ぐらいは言えたと思う。


あまりにもガチガチだった俺を見て、何も知らない殆どの生徒が緊張であがってると思うのは当たり前で。
童顔新入教師が緊張してる姿なんて、目を付けてと言ってるのも同じなんて…なんで気付かなかったんだろ。


…俺って、自分で身を滅ぼすタイプだ。絶対。






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