…3。 丁寧で心地よい洗髪に連日の疲れたもあって、ついついうたた寝したのは俺の不注意だ。 目が覚めた俺が見たのは、まるっきり面影が無いくらいイメチェンされてしまった俺。 「…なっ!…えっ!?」 不揃いな前髪からなるアシンメトリーな髪型に、生まれて初めての染髪。 明るく赤みがかかった茶色にボーゼンだ。 「……これが、俺…?」 別にシンデレラ的な感嘆で言ったわけじゃなくて、素直に驚いたから。 それと、その姿が俺の教師のイメージとかけ離れていたからだ。 「似合う似合う。」 楽しそうに微笑む無限と、満足げな遊佐さんに挟まれた俺の絶望感ってハンパない。 だって、どこから見ても教育者っぽくないんだ。 しっかりスーツを着込んでも、頑張って成人式。 うっかりしたら高校生に間違われもおかしくない。 「…俺、教師なんだけど…。」 誰に言ったのかわからない呟きを、勿論二人が聞いているわけなく。 「せめて色だけでも戻して」という俺の必死なお願いも華麗にスルーされてしまった。 …本当、ツイてない。 ほぼ自分さえ注意すれば回避出来る事なのが、さらにキツい。 …無限なんか信じるんじゃなかった。 俺の馬鹿やろう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |