…2。 「俺がバッチリイイ感じの髪型にしてやるよ。」 ニヤリという効果音が何でこんなに似合うのか。 嫌な笑みを浮かべる無限に眉をしかめると、 「……いえ、やっぱり遠慮します…」 …だって嫌な予感しかしない。 ここ連日、なんだかんだで口車に乗せられて、いつの間にか無限の手伝いをさせられているのだ。 初めは自分の仕事をしていた筈なのに、気が付くと無限の仕事にすり替わっている。 そんな奴の話に乗るのは、はっきり言っていい気持ちはしないんだ。 「悪いようにはしないって。 むしろイイ感じ?知り合いにいるんだよ。腕のいい美容師。」 「…うーん…」 『腕のいい美容師』には惹かれるものがある。 でも『知り合い』に引っ掛かるものがあるのも事実で。 「そんなんだと馬鹿にされるぜ?」 「うっ、」 …それは、嫌かも。 結局、その言葉が決定打になって、折れてしまったのは自分が悪い。 だから、クヨクヨしてても仕方ないってわかってるけど、こういうのって性格なんだからなかなか治らないものだ。 それから、連れて行かれた美容院で、同級生なんだと紹介された美容師は、陽気で優しそうな雰囲気だった。 「遊佐です。今日はよろしくね?あ、上着預かるよ。チョーダイ?」 「は、はい、よろしくお願いします…」 語尾に星マークが付きそうなテンションで、無限の友人とは思い辛い雰囲気の遊佐さんは、 …やっぱり、無限の友達でした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |