…11。 「次は上手く逃げろよ?」 「っ、」 誰から?なんて聞きたくなる。 たった今、自分が要注意人物に認定された事に楽しんでいる風の無限は、真っ赤な顔で睨む俺を笑うと、 「もちろん。生徒と俺から。」 …わけわかんねぇ! 「肝に銘じておきます…。」 眉間に皺を寄せる俺に「よろしく」なんて悪びれる事のない無限は、ついでにとばかり言葉を付け足す。 「俺ココの卒業生なんだよね。いつだって相手してやるから、遠慮しないで言えよ?」 「……心の底からお断りします。」 とりあえず、必要最低限以上近付かない事にしようと、堅く心に誓ったんだ。 …俺、初っ端から不幸過ぎる。 今すぐ無限から離れたかったが、職員寮までの道に自信のない俺は大人しく案内されるしかなく。 それでも警戒心丸出しで一定距離を保ちながら、食堂やら購買やらはたまた自炊の為のスーパーやらをくまなく巡り、職員寮にやっと辿り着いた時はまだ夕方前だというのに緊張でヘトヘトだった。 予想通りといえば予想通りの、低価格のクセに本当いいのか!?と疑うくらいの広さがある職員寮は、ちょっといいマンションのような佇まいだ。 俺の部屋はその二階にあり、なんと隣室が無限だと知って更に気分を低下させた。 一体なんの嫌がらせだ。 本来なら広くて新しい部屋にテンションも気分も高揚する筈だったのだが、疲れきった頭ではその喜びも半減以下。 しかも含みのある顔で「手伝おうか?」とわざわざ耳元で囁いてきた無限を全力で拒否すると、一人きりになった部屋で届いていた荷物をほどきながら溜め息を吐いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |