『揚羽蝶』
七/二
「…そんなに心配しなくても、揚羽さんは康介君の事を想っていますよ?」
苦笑いで言った先生に首を振った。
「…そんな事無いです。ふられてしまいましたから。」
自分で言って、涙が出てきた。
「…康介君に言い忘れた事があって、戻って来たんです。」
「?…なんですか?」
涙を拭いながら問うと、
「渡米する事が決まりました。」
ゆっくりと、先生が話出した。
「とべい?…アメリカに行くということはですか?」
先生は頷いた。
「唐突ですが、次回で私の授業も終わりになります。」
「……」
先生が居なくなるのは寂しい。
だけど、渡米が先生の長年の夢だった事を知っている。
「…おめでとうございます。」
全然おめでたくない顔で言うと、先生は酷く真面目な顔で言った。
「揚羽さんを、一緒に連れて行く事にしました。」
「!!」
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