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『トオルの弱点はアヤ』

なんて噂、知らなかった。
知ったのはつい先日、俺が誰かに拉致られたときだ。

俺の知らないところで徹は俺を守ろうと動いてくれていたらしい。事情を知らずに暢気に暮らしていた俺はそいつらに拉致られた後、罵られ殴られた。痛みに呻きながら自分の愚かさを恨んだ。

俺と徹はここ【ill will】に所属している。そしてその中でのランク付けでは徹がぶっちぎりの1位。

そんな徹に弱点は無いと言われていたが、徹は俺を守るようになり、弱点が俺になったと噂になった。そのときからちゃんと自覚していれば徹にばっかり苦労させなかったのに。

その結果、俺は拉致られて、徹が暴走した。

徹のしなやかな動きに目を奪われ反応が遅れてしまう。気づいたときにはもう徹のナイフが3人目の首に引っかかって血を垂らしていた。

「死ね」

冷たい声。酷く響く。






俺が徹の足を引っ張ってしまうのなら、苦労をかけてしまうのなら、いっそのこと離れた方がいいじゃないか。











一度滅んだ文明がここまで秩序を取り戻せたのは一つの巨大な組織があり、絶対的な権力で纏めたから。

名前を【ill will】
悪意を持って弱者を征す――

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