君が笑ってくれるなら
3...
▽▽▽
昔から顔を合わせればケンカするような腐れ縁だった。
真っ赤になって怒る顔や意地っ張りな表情。
ツンツンした目つきや言葉。
自棄になって酒を傾ける仕草。
――そしてあいつらしい勝ち誇ったような満面の笑み。
全てが面白くて、可愛くて、愛おしくて、ついついからかって虐めたりもした。
好かれていない…寧ろどちらかと言えば嫌われてさえいるだろう事は自覚していた。
だが、それでも良かった。
この関係がいつまでも続くと思っていた。
…それが変わったのは奴が現れてからだった。
…まぁ、最初のうちはまだ良かったのだ。
弟に出来なかったのは残念だし、あいつがしょっちゅう大陸に行くせいであまり会えなくなったのは多少悲しかった。が、何時も見せる顔とは違う優しげな表情も見れたしなによりあいつは幸せそうだった。
…でもそんな時間は長くは続かなかった。
あいつの顔からは笑顔が消え、苦しそうな、悲しそうな表情が増えた。
俺がからかってみても、どこか元気のない様子だった。
…別に奴が悪い訳じゃ無い。
そういう時代の流れだった。
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